4億台以上売れたウォークマン、音楽シーンに欠かせないシンセサイザー 世界を変えた日本の電子機器6選!

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「昔はできたのに、なぜ今はできなくなってしまったのか」

 未来技術遺産の登録作業を担ってきた科博産業技術史資料情報センターの前島正裕センター長は奮起を促す。

「日本人は既に江戸時代からモノづくりが好きで、現代に入ってからも非常に盛んだったのは事実。しかし、モノづくりが得意な国は日本だけではありません。例えば今では誰もが持つスマホにしても、コンパクトにいろんな機能を詰め込むのはもともと日本人が得意なことで、そうした発想の製品も早くから出していたのに、最終的にはみすみす外国にヒントを与えただけで終わってしまった結果が市場に表れているのです。それでも、モノづくりが好きな若い人は日本にもまだたくさんいるし、昔の技術やレトロな製品への関心も高まっています。日本人は今こそ『昔はできたのに、なぜ今はできなくなってしまったのか』という点について、改めて深く考える必要があるのではないでしょうか」

 これからも長きにわたり「未来技術」の名にふさわしい日本の製品や発想が生まれ続けることを期待するほかない。

菊地正憲(きくちまさのり)
ジャーナリスト。1965年北海道生まれ。國學院大学文学部卒業。北海道新聞記者を経て、2003年にフリージャーナリストに。徹底した現場取材力で政治・経済から歴史、社会現象まで幅広いジャンルの記事を手がける。著書に『速記者たちの国会秘録』など。

週刊新潮 2025年3月20日号掲載

特別読物「ローランド、カシオ、ソニー…モノづくりの神髄がここに! 日本が世界に誇る『未来技術遺産』6選」より

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