巨人ファンの心をも揺さぶった日本シリーズから12年 東日本大震災復興の象徴「田中将大」が歩み出した再起の道(小林信也)
2013年の日本シリーズ、楽天と巨人が3勝3敗で迎えた第7戦。
8回裏二死から楽天の岡島豪郎がレフトフライに倒れると星野仙一監督が三塁ベンチを出た。威嚇するような顔で主審に投手交代を告げた。
リードして終盤を迎えたら「最後は田中将大に投げてほしい」、楽天ファンの多くが願っていた。この年の公式戦、田中は27試合に先発し、24勝無敗。田中が投げたら負けない。パ・リーグ初制覇の屋台骨だった。
だが、前日第6戦で完投。160球を投げて負けた田中の連投は微妙だとささやかれる中、場内アナウンスより先に三塁ベンチを飛び出したのは背番号18だった。...