「ドライアイで“瞬間的な失明”」「スマホ老眼で近くのものが見えないように」 スマホの健康被害について専門家に聞いた

ドクター新潮 ライフ

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スマホを使うと、まばたきの数は通常時の3分の1に

 梶原院長が続けて話す。

「スマホに限らず細かいモノを一生懸命に見ようとすると、まばたきが自然に減って目が乾いてしまいます。例えば、読書はすごく集中して細かい字を見るというよりは、内容を理解することが主なので、そこまで目を凝らして見るということはあまりありません」

 それがスマホの場合なら、ニュースからSNSまで画面が瞬時に変化する。文字だらけのページを見ていたら、いきなり動画が始まるのは日常茶飯事だ。

「さまざまな変化に追いつこうとスマホに目を近づければ、まばたきの数はどんどん減ってしまいます」(同)

 ドライアイを防ぐためには、まばたきの数を増やして涙の分泌を促す。つまりは目に潤いを与えるのが大事なのだが、スマホを使うと、まばたきの数は通常時の3分の1くらいにまで減少するとの試算もある。

「瞬間的な失明」

 二本松眼科病院の平松類副院長によれば、

「まばたきの数は、何もせずボーッとしている時で1分間に20回ほど。本や雑誌を読んでいる時は12回くらいなのですが、スマホを使っている時は7回程度に減ってしまいます」

 そもそもドライアイは体にどんな不調を招くのか。

「皆さんドライアイと聞くと、たいしたことないと思いがちですが、悪化すれば目の痛みに始まり、肩こりや頭痛、吐き気がひどくなり、更年期障害のような体の不調を感じます。仕事に支障が出る患者さんもいますね。目の表面が傷つきやすくなるので、視力が低下する恐れもある。決して軽く考えていいものではありません」(同)

 さらにドライアイの怖さを、かわもと眼科の川本晃司院長はこう語る。

「私が提唱する機能的失明の一つである『瞬間的な失明』を引き起こしてしまうのです。人間というのは、まばたきなどで目を開けた瞬間が一番よく見えているのですが、目が開いている時間が長いほど、だんだんと視力が落ちていく。本来の視力より半分ほど下がるイメージです。もともと視力が1.0の人が0.5になっても困らないと思いますが、0.6だった人が半分に落ちれば、極端に言うと周囲が見えなくなります」

 こうした状態が運転中に起きれば、重大事故を引き起こしかねない。

「高速道路で数秒でも視界がぼやけてしまえば、その間に車は数十メートル移動するわけです。もともと視力が低下している高齢の方で、運転中に非常に怖い思いをしたと言って来院される方がいらっしゃいますが、そうした方の生活習慣を確認すると、スマホを長時間使用していたという方は多いですね」(同)

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