「ドライアイで“瞬間的な失明”」「スマホ老眼で近くのものが見えないように」 スマホの健康被害について専門家に聞いた

ドクター新潮 ライフ

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「目は近くの対象にピントを合わせる状態に慣れてしまう」

 実際にスマホを使っていると、真っ先に体の異変を感じるのは目であろう。シニア世代なら、疲れ目や目の焦点が合いづらくなるなど、さまざまな不調を感じる人が多いのではないか。

 そうした違和感は、大概が「スマホ画面の見方」に起因するとして、前出の梶原院長はこう話す。

「ついつい夢中になって、長い時間スマホ画面に顔を近づけてしまうと、目は近くの対象にピントを合わせる状態に慣れてしまいます」

 結果、目の筋肉は悲鳴を上げてしまうという。

「目の中の筋肉である内眼筋は、遠くを見ている時が最も働いていない状態です。これが目にとって一番楽なのですが、逆に近くのモノを見る時は、思いっきり筋肉が収縮してピントを合わせなければいけません」(同)

「スマホ老眼」

 そうした緊張状態が続くと、近くを見る際には問題がなくても、遠くを見た時に不都合が生じる。

「遠くを見ようにも目の筋肉の緊張状態が戻らない。そうなると近視と同じように遠方がかすんで見えてしまう。短くて数分、長くて数時間にわたって、遠くが見えにくい状態が固定化されてしまいます。これを眼科の用語では『調節緊張症』と呼びますが、そういう症状が何回も出ると、子供の場合は本当の近視につながるといわれています」(同)

 子供と違って成長期が終わった大人は近視になりにくいそうだが、むろん個人差がある。長い時間スマホを目に近づけていれば、大人であろうと近視が進む可能性もあるので要注意だ。

 最近よく耳にする「スマホ老眼」は、どんな症状が起こるのか。

 再び梶原院長に聞くと、

「若い人で老眼がなければ、遠くから近くまで普通に見えるわけです。ところが、スマホに集中して近くにピントを合わせ続けていると、目の筋肉が疲れて働かなくなる。そうなると老眼と同じように近くのモノが見えにくくなる。これが俗に『スマホ老眼』と呼ばれる状態。筋トレをやり過ぎた後、筋肉に力が入らなくなってしまうのと同じですね」

 10代から起こることでも知られるが、老眼が進む中高年なら症状を加速させる可能性も無視できない。こうした症状は読書などでも起こる場合があるそうだが、スマホを使うことで悪化しやすいと専門医たちが口をそろえる病が「ドライアイ」である。

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