最終回「御上先生」が「ドラゴン桜」になっているワケ 気になるTBSの“東大フェチ”
課題解決型の思考法
一方、ドラマの理念としては「ドラゴン桜シーズン2」を踏襲しているという。俳優の阿部寛(60)演じる桜木先生は「大人たちに搾取されないためにも東大に行け。そして世の中を変えろ」と呼びかけ東大合格に有効な学習法を試していく。「御上先生」も学力向上のためのアクティブリコールや課題解決型の思考法、ディベートなどを提案する。ここがスーパー熱血教師との大きな違いだ。
「第7話では家庭の困窮からPMS(月経前症候群)になり万引きをして退学処分となったクラスメートの椎葉(吉柳咲良)を救うため、生徒たちが相対的貧困への理解を求める署名活動を展開し椎葉を救います。課題解決に向けた生徒自身の能動的行動を描いた場面は、これまでの学園ドラマとは一味も二味も違う斬新な点。
制作チームは詰め込みではなく、『考える力』を養うことの重要性を視聴者に問うているようです。第8話では蒔田彩珠演じる生徒の富永が『人の役に立ちたいと思った。受験は目的ではなく手段。それを知った私たちが東大に行くことには意味があると思う』とクラスメートに語ります。自身で考えたうえで東大を目指すという方向性は『ドラゴン桜』を一段階アップグレードさせたような印象ですね」(TBSドラマ関係者)
それにしても、TBSの“東大フェチ”は他局の追随を許さない。「東大王」というバラエティー番組が高視聴率を記録したのは記憶に新しい。
「そもそも60年代からの『時間ですよ』シリーズを演出した鴨下信一氏(享年85)や『寺内貫太郎一家』『ムー』『ムー一族』などTBSドラマの全盛期を築いた同局の久世光彦プロデューサー(享年70)は東大卒です。かつてはテレビ局の中ではNHKに次いで官僚的と呼ばれた頃もありましたね」(スポーツ紙芸能デスク)
緻密かつ完璧な社会派ストーリーで視聴者を引き込んでいる「御上先生」だが、前出の放送ライターは1つだけ疑問を呈す。
「第5話で生徒たちがファンドを企画する場面が登場しました。そこで吉岡里帆演じる是枝先生が財布から1000円札を取り出し『これはただの紙。(紙をお金だと)信じることの具現化だと思ったらお金って、人間ってすごいな』と笑顔を見せました。だが、現実の世界は、米ドル紙幣や円紙幣への信用が大増刷により急降下しているため、実物資産である金(ゴールド)が急騰しています。是枝先生は金融オンチとして描かれているためこれで良いのかもしれませんが、世界金融を考えると、疑問が残るセリフでした」
最終回では、文科省の塚田局長(及川光博)と隣徳学院の古代理事長(北村一輝)、3年学年主任の溝端(迫田孝也)らによる裏口入学の実態が暴かれる。御上は同期である「倭建命(ヤマトタケル)」こと文科省の槙野(岡田将生)と協力して真犯人を追い詰めるのだが……。裏口入学者に対する生徒たちのリアルな感情と行動が、最大の山場となりそうだ。
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