最終回「御上先生」が「ドラゴン桜」になっているワケ 気になるTBSの“東大フェチ”
教育現場への皮肉と批判
俳優の松坂桃李(36)が主演するTBS系日曜劇場「御上先生」(日曜午後9時)が23日の放送で最終回を迎える。「『変えられないなら壊すだけ』一人の男と令和の高校生たちが腐った教育現場に立ち向かう」なるキャッチコピーのもと、文科省と教育現場への痛烈な皮肉と批判を盛り込んだ社会派ドラマだ。(※以下、ネタバレあります)
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「重い」「暗い」という反応が上がる一方で視聴率は好調を維持。初回12.2%、第2話11.2%、第3話11.3%、第4話10.3%、第5話10.0%。第6話9.1%。第7話10.2%、第8話10.6%、第9話10.7%と25年1月期ドラマの中では特筆すべき好成績をあげているのだ。
連ドラをウォッチングしている放送ライターがこう指摘する。
「松坂が演じるのは東大卒のエリート文科省官僚の御上孝(みかみたかし)。新設の官僚派遣制度によって、進学校の私立隣徳学院への出向を命じられます。教育制度を作る側の官僚が、制度の矛盾に苦悩する教師になることで、教育の歪みと大人たちの不正を暴いていく新機軸のドラマです。本作の飯田和孝プロデューサーは『半沢直樹』『ドラゴン桜』『VIVANT』『アンチヒーロー』などの傑作を歴任しているため、各ドラマのテイストが『御上先生』に盛り込まれています」
例えば「御上先生」の第1話冒頭。国家公務員採用総合職一次試験の会場で殺人事件が起きるが、「アンチヒーロー」も第1話は衝撃的な殺人事件が展開される。この犯人が最終回に向けてどう罪と向かい合っていくのか、が大きな見どころとなった。「アンチヒーロー」は検察や警察の腐敗を暴く社会派ドラマだったが、「御上先生」は舞台を文科省に移し教育現場の矛盾と腐敗を告発していく。
いわば、「アンチヒーロー」のフォーマットをうまく応用した社会派ミステリーとなっており、御上先生自身が「アンチヒーロー」という構造だ。ただ、教育制度の欠点を暴いていく役回りに教師の御上だけではなく、生徒自身も参加しているというところが新機軸なのだ。
「教室でわめいたり怒鳴ったりする生徒が皆無です。実はこういう描写は学園ドラマでは珍しい。TBSの往年の名作『3年B組金八先生』や日テレの『熱中時代』、フジの『GTO』とは大違いです。隣徳学院は県内トップの東大合格者を輩出している進学校という設定のため、生徒の発言は落ち着いていて理路整然としています。
御上先生はいつも生徒に『考えよう』と背中を押しますが、これは国の未来を背負っていく人材になるため社会の成り立ちについて冷静に判断しなさい、という希望を託しているから。ちなみに隣徳学院のロケ地は、東大合格者数95人で全国3位になった横浜市の超難関男子中高一貫校・聖光学院です」(前出のライター)
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