「MLBは100億円は下らない収入を得たと推定」 各国で公式戦を断念したMLB…「大谷に熱狂している日本には市場がある」

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「親切な若い女性が……」

 そのため、なんとか球場に入りたい一心で、ドーム周辺には「チケット求む」のメッセージボードを掲げる人々の姿が見受けられた。

 お手製の日本語ボードを抱えていたオーストラリア人のジムさん(43)に聞くと、

「チケットが取れずダメ元で来てみたけど、係員から退去するように言われました。丁寧に従いましたが、後楽園の駅に向かって歩き始めた時、親切な若い女性が近づいてきて“友達が寝坊してしまったので一緒に行きませんか”と言ってくださった。とても眺めのいい席で、彼女にお金を渡そうとしたけど、受け取ってくれませんでした」

 彼などチケットを手にできた幸運な者たち以外は、テレビかネットの中継を通してしか、大谷らの活躍を見ることはかなわなかった。

 先のデスクによれば、

「選手たちの肖像権は主催者にあり、混乱を避けるためとの理由から取材規制が設けられた格好ですが、結果的に大谷らの露出機会がコントロールされたことで、世間の関心は試合中継に集まった。テレビでいえば生中継できたのは共同主催者である読売系列のチャンネルだけ。後塵を拝する他メディアは、事後に試合結果を報じた格好ですが、その際にもMLBなど主催者側からは、選手の姿を記事中の写真や映像で流す際、球場内などに掲げられたスポンサーのロゴが映り込まぬよう配慮すべしとの要請までありました」

「MLBは100億円は下らない収入を得たと推定」

 報道規制の裏には、大谷効果で莫大(ばくだい)なスポンサー収入を得ることになった主催者が抱える“大人の事情”があった。

 五輪など世界的なスポーツイベントでは、数多くのスポンサーが名乗りを上げる。そして協賛企業の数が多くなればなるほど、主催者側がスポンサーに配慮して、大会自体にさまざまな制約が生まれるのが常だ。

 前述した取材規制の多さは、それだけ今回のドジャースとカブスの開幕シリーズに、多くのスポンサーが集まったことを物語っているのである。

「今回の開幕戦を通じて、MLBは100億円は下らない収入を得たと推定しています」

 と話すのは、桜美林大学教授でスポーツ経営学が専門の小林至氏だ。

「仮に米国本土で開幕戦を開催しても、10億円から15億円ですから、大谷の経済効果は絶大です。昨年ドジャースは大谷関連で120億円ほどのマーケティング収入を得ました。今回の東京興行でスポンサーは22社もつきました。ほとんどは日本企業ですから、ドジャースも大谷が引っ張ってきたジャパンマネーの大きさには度肝を抜かれたと思いますよ。MLBとしても開幕戦を東京でやれば儲かるわけで、日本の野球市場を刈り取りにきていると言っていいでしょう」

 MLBにしてみれば、本場の米国よりも、大谷を生んだ日本の方がカネのなる木というわけなのだ。

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