「1円でも多くの税金を搾り取るのが財務省の『仕事』」 サラリーマンを追い詰める退職金増税の実態
「本気で医療費の問題を見直すのであれば……」
患者にとって負担増となる高額療養費の限度額引き上げを政府に求めてきたのは厚生労働省と財務省である。予算案の審議過程では、厚労省が、患者や関係団体の意見を十分に聞いていなかったことも判明した。
「高額療養費の上限額については、基本的に据え置きでいいと考えています」
と話すのは、医師・医療経済ジャーナリストの森田洋之氏である。
「そもそも医療費全体に占める高額療養費の割合はほんのわずかです。医療費の総額が40兆円を超えているのに対し、今回の上限見直しで削減できる医療費は200億円程度ですから。本気で医療費の問題を見直すのであれば、延命治療などの在り方を再検討すべきです。日本では患者が亡くなるまでの最後の1年に最も医療費がかかっているといわれています」
しかもその医療費の大半は積極的な治療に使われているわけではなく、
「食事ができなくなった寝たきりの患者さんのお腹に穴を開け、胃に直接食べ物を流し込む胃ろうだったり、点滴、人工呼吸、人工透析など、対症療法で延命しているケースが多いのです。本当に困っている人に対する医療はちゅうちょなく提供すべきですが、そうではない医療にたくさんお金がかかってしまっているから、今のように財政を圧迫する状態になったのです」
「あらゆる制度において物価に適正に連動させる態度を財務省は持ってしかるべき」
慶應義塾大学大学院経営管理研究科教授の小幡績氏はこんな意見。
「私は見直しに賛成です。日本の医療制度はすごくありがたい制度ですが、医者や病院が、儲けにつながる患者ばかりを集めてどんどん治療する、という側面もあります。そうなると財政破綻して制度が維持できなくなるので何とかそのインセンティブを抑えようということで、今回の見直しにつながっているのだと思います」
京都大学大学院教授で元内閣官房参与の藤井聡氏は、
「石破氏が限度額引き上げに動いたのは、高額療養費制度に助けられている患者が国民のごく一部に過ぎなかったからでしょう」
と指摘し、こう語る。
「今回の上限額引き上げは『物価上昇分』であると説明されています。極めて真っ当な説明ですが、各種税制を物価に連動させるべしという原則を守ることが、それにより治療を受けられなかったり亡くなったりする方が増えることよりも重要であるというのならば、あらゆる制度において物価に適正に連動させる態度を財務省は持ってしかるべきです。しかし決してそういう態度ではありません」
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