「1円でも多くの税金を搾り取るのが財務省の『仕事』」 サラリーマンを追い詰める退職金増税の実態

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石破首相は追い込まれて凍結を宣言

【全2回(前編/後編)の前編】

 サラリーマンを狙い撃ちする「退職金増税」について石破茂首相が国会で言及した。そもそも退職金税制とはどのような仕組みなのか。なぜ財務省は「優遇制度見直し」を諦めないのか。「雇用の流動化が促進される」という説明は本当なのか――専門家による徹底解説。

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 少数与党に陥っている石破政権にとって大きな関門になるとみられていた来年度本予算。日本維新の会が訴える「高校授業料無償化」案を丸のみすることで意外にすんなり衆院を通過したが、最後の最後にどんでん返しが待っていた。

 参院での審議中に“待った”の声がかかったのは、医療費の患者負担に月ごとの限度を設けた「高額療養費制度」の見直しについて。政府案では今年夏から負担限度額を引き上げる方針だったが、3月7日、石破首相は「引き上げ見送り」を表明。全国がん患者団体連合会が引き上げ凍結を求める声を上げる中、野党ばかりか与党内からも慎重論が沸き起こり、追い込まれて凍結を宣言した格好である。

「石破首相に政策決定権限などない」

「夏に選挙を控えた自民党参院側が高額療養費制度見直しに反対するのは当然。松山政司自民党参院幹事長が中心となって森山裕幹事長や小野寺五典政調会長に『引き上げ凍結』を求めていました」

 と、政治部記者が言う。

「元々引き上げに消極的だったとされる森山さんらの念頭には2007年の参院選大敗があるのは間違いない。郵政造反組復党問題や相次ぐ閣僚の不祥事に加え、『消えた年金』問題が争点になり、自民党は大敗しました。暮らしに直結する社会保障費の問題は選挙の趨勢に大きく影響するのです」

 ちなみに、

「森山幹事長は今や国会のみならず政権運営をも一手に担っている状況です。何しろ、石破首相はことあるごとに“森山さんは何て言ってる”と口にしますから。石破首相に政策決定権限などないのです」(同)

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