コンビニのレジや駅の券売機でも…“被害”報告が相次ぐ「新紙幣が詰まりやすい」問題に迫る

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駅の券売機でもよく詰まる

 調査を進めると、新紙幣が詰まりやすいのはコンビニだけではないらしい。JR東日本の駅員でみどりの窓口で切符を販売するT氏によると、「指定席券売機でも詰まりやすいし、もちろん窓口の機械でも頻繁に詰まります」とのことだ。こちらもやはり、旧紙幣とは比べものにならないほど詰まるらしい。そして、こうも語る。

「券売機や窓口の売上金をまとめるために後から大き目の機械に入れるのですが、新紙幣は本当によく弾かれます。旧紙幣の頃は明らかにぐしゃぐしゃだったり、破れていたりするものが弾かれていました。ところが、新紙幣はピン札が弾かれるんですよ。なので、わざと折り目を付けたり、ピン札の塊は1枚1枚剥がして読み込ませたりと、今までより処理に手間がかかるのでイライラします」

 あくまでも推測であるが、どうも“悪さ”をしているのは、先のコンビニの店員も指摘していたホログラムの可能性がある。旧紙幣では1000円札と2000円札を除き、5000円札と1万円札に採用されていた。今回発行された新紙幣にはすべての券種で採用されているだけでなく、その面積も大幅に拡大し、より複雑な仕様になっているのが大きな変更点だからである。

 ホログラムといえば、紙幣を傾けると渋沢栄一が動いて見える技術も話題になった。国立印刷局は「世界で初めて搭載される偽造防止技術」と胸を張り、マスコミにも宣伝させるなど、自信作として押し出していた。ただ、紙幣の上にテープ状のもので貼り付けているため若干の厚みがあり、周りにコーティングのようなものが施されている。さきのコンビニ店員が指摘したように、これが機械と相性が悪い原因かもしれない。

偽造防止技術が裏目に?

 このたびの新紙幣の発行に際し、国立印刷局は「準備期間を長く持たせるため」と言って5年ほど早めにデザインを発表した。その割には、自動販売機やバスの運賃箱など、新紙幣に機械が対応するには時間がかかった。現在はだいぶ解消されつつあるが、いまだに「新紙幣は使用できません」という機械を見かけることがある。

 新紙幣と機械の相性が悪い理由は定かではないものの、ハイテクな偽造防止技術のせいで、かえって機械に不具合を起こしているとしたら本末転倒ではないか。そう考えると、“紙幣も機械も欠陥商品”と疑いの目を向けざるを得ない。5年間の準備期間はいったいなんだったのだろうか。十分なシミュレーションは行ったのだろうか。

 最近、新幹線の連結器が外れる事故など、日本のモノづくりの根幹を揺るがす事件が数多く発生している。日本の紙幣も、職人技が結集した技術力の結晶だったはずだ。それがトラブル続きで、利用者から不満が相次いでいるのは悲しい限りだ。ましてや、ピン札が機械に弾かれるなど、まったくもって意味不明である。早急に原因の究明を求めたいと思う。

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