中学受験を終えた父親が「1月に小学校を休ませて本当によかった…」と語る理由 「合格体験記」には載らない“偏差値50から見上げた”中学受験のリアル

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子どもの目の色が変わったのは「1月に入ってから」

 こうしたお金にまつわる悩みも中学受験にはつきものだという。

「実際に中学受験を体験したから分かるのですが、受験生の親は常に“判断”を迫られるんですね。しかも、その判断には経済的な負担がつきまとう。たとえば、受験直前に成績が伸び悩むと、個別指導の授業回数を増やすべきか悩むわけです。授業を週1~2コマ“増やす”となれば、それだけで1ヵ月に2~4万円ほど負担が上乗せされる。土日に志望校に特化した講座を受ければ2~3万円ほどかかります。さらに冬期講習、正月特訓、直前演習……。“わが子のためとはいえ、本当にこの金額に見合うリターンがあるのか”などと考えてしまう親は中学受験には向いていません。もちろん、そういう親の方がよっぽど常識的という意味です。やっぱり中学受験はコスパ度外視な“狂気の世界”ですよ」

 そんなAさんの子どもが明らかに変わったのは、受験当日までカウントダウンに入った今年1月のことだった。

「1月は小学校をほぼ完全に欠席しました。学校でインフルエンザやコロナに伝染することを恐れてというよりは、社会と理科の暗記が全く追いついていなかったから。社会は明治時代以降の日本史と時事問題、理科は昆虫や植物など生物の分野をノートに書かせまくる毎日でした。小学校を休むと生活リズムが崩れるという指摘もあるんですが、うちの子の場合は逆でしたね。学校を休んだことで退路を断たれたというか、ようやく目の色が変わった気がします。1月の半ばころには親よりも早起きして机に向かうようになって、わが子ながらこの変化には感動しました。正直なところ、どうにか第3志望の学校に合格できたのは1月の頑張りが大きかったと思います。一夜漬けならぬ“1ヵ月漬け”ですが、本気になった小学生の集中力と記憶力には驚かされました。1月のラストスパートがなければ絶対に合格できなかったと思います。とはいえ、4年前に受験勉強をスタートして、本気になったのが試験の1ヵ月前ですからね……」

 名門中学に合格した子どもだけが、中学受験の経験者ではないのだ。

デイリー新潮編集部

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