中学受験を終えた父親が「1月に小学校を休ませて本当によかった…」と語る理由 「合格体験記」には載らない“偏差値50から見上げた”中学受験のリアル

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受験3ヵ月前でも自分から勉強しない

 今年も“勝者”と“敗者”を分ける2月が終わった――。首都圏模試センターの調査(速報値)によれば2025年の「私立・国立中学校の受験者総数」は5万2300名(前年比99.6%)となり、過去40年で3番目に多い受験者数を記録。受験率は18.10%と過去2番目の高さだったという。

 もちろん、東京都だけに限れば、受験率が50%近い区も存在する。小学6年生のクラスのおよそ半数が中学受験に挑むわけだ。中学受験はもはや“クラスでトップの優等生”だけのものではないが、東大合格者ランキングで上位に名を連ねる進学校や、有名大学付属中学の定員がいきなり増えるわけでもない。その結果、何が起きるかといえば、

「中学受験塾のHPには載りませんが、“全落ち”をはじめ、結果に恵まれなかった子どもは物凄い人数にのぼると思います。私自身も最後の最後までドキドキしながら受験会場に子どもを送っていました」

 そう振り返るのは都内在住の40代会社員男性・Aさん。最終的に子どもはどうにか第3志望に合格したそうだが、そこまでの道のりは想像以上に長く、険しかったという。まだ記憶に新しい“追い込み”の時期を振り返ってもらおう。

「うちの子どもは小学3年生から大手塾に通わせていました。とはいえ、入塾以来ほとんどのテストで偏差値は50前後。小学6年生になってバスケの少年団チームをやめてからは“受験一本”だったわけですが、実際には、受験を3ヵ月後に控えた昨年11月になっても自分から勉強する姿勢は見られませんでした」

デキる子は親から“勉強しなさい”と言われない

 Aさんは子どもの意識を勉強に向かわせるため、数多くの合格体験記に目を通したという。

「正直、うちの子とは全く別世界だな、と感じましたね。“基礎的な問題は授業中で理解して、家では自分に合った教材をコツコツ進めました”“苦手科目にも正面から向き合って、6年の夏休みまでにはどうにか克服できました”とか、本当に素晴らしいエピソードばかりで……。そもそも、有名中学に受かる子は親から“勉強しなさい”と言われる前に勉強するんだな、と(笑)」

 Aさんの子どもは、自宅で集中して勉強する習慣がなかなかつかなかった。

「うちは共働きで私も妻も帰りが遅い。なので、とにかく“課金”して塾に頼りました。6年生に入ると、うちの子の場合は通常の授業が週に3回。それに加えて、週2回は系列の個別指導塾に通わせ、土日は定期テストと特別講座がありました。もちろん、総額はかなりのものですよ。一人っ子なので“重課金”に手を染められましたが、きょうだいがいたらもっと冷静に考えたかもしれません」

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