屈辱にまみれた西武に“復活の兆し”が…「逆襲の獅子」の鍵になる選手とは

スポーツ 野球

  • ブックマーク

 昨季は、5位のオリックスにも13ゲームの大差をつけられて、泥沼の最下位に沈んだ西武。現役引退後、監督をはじめ、ゼネラルマネージャーや監督代行と長年チームを支えてきた渡辺久信氏が退団し、新たな体制で巻き返しを図っている。“新生西武”が浮上するためには何が必要なのか。キーマンは誰になるのか。キャンプ、オープン戦のプレーぶりなどから探ってみたい(オープン戦の成績は3月16日終了時点)。【西尾典文/野球ライター】

 ***

「1位で指名されなかったのが、不思議なくらい」

 最大のウィークポイントは、何といっても得点力不足だ。昨年のチーム打率は.212で、これは、パ・リーグ歴代最低の数字である。浅村栄斗(楽天)をはじめ、秋山翔吾(広島)、森友哉(オリックス)、山川穂高(ソフトバンク)と、かつて中軸を担った選手が相次いで移籍し、それに代わる選手を育成できなかった。

 そんな中で、今季はドラフト2位ルーキーの渡部聖弥に対する期待が大きい。大阪商業大では、入学直後からレギュラーに定着すると、2年秋に関西六大学野球のシーズン記録となる5本塁打を放ち、リーグタイ記録となる通算119安打を記録した。4年間で6度出場した全国大会では、通算で4割を大きく超える打率を残し、大学日本代表に選ばれて国際大会でも活躍した。

 他球団のスカウトは、渡部について、以下のように話している。

「最終的にはドラフト2位になりましたが、1位で指名されなかったのが、不思議なくらい。上背(身長177cm)は、そこまで大きくありませんが、パワーは抜群で、センターや右方向にも長打が打てる。肩の強さとスピードを兼ね備えています。大きな故障もなく、体の強さも魅力です。渡部が2位まで残っていたのは、西川史礁(青山学院大、ロッテ1位)に比べると、打球の軌道が低く、ライナー性の当たりが多くて、プロでホームランが量産できるのか、疑問に感じたスカウトが多かったのかもしれませんね。ですけど、私は、将来的に毎年本塁打を20本以上も打つようなバッターになりそうだと思います」(関西担当スカウト)

 渡部は、初の春季キャンプも一軍で完走。3月16日の中日戦には、怪我で離脱したセデーニョの代役として4番に抜擢されるなど、首脳陣の期待の高さが感じられる。西武の外野は、どのポジションもレギュラーが固まっておらず、オープン戦で結果を残せば、そのまま定位置を獲得する可能性も十分にある。

次ページ:投手陣にも明るい兆しが?

前へ 1 2 次へ

[1/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。