韓国で何が起きているのか… 尹大統領の支持率が“驚異の回復”を見せている理由と、「内乱」の真実
暗躍する反国家勢力の実態
巨大野党はまた、尹大統領の主要な国政課題を妨害するために、予算権を武器としてきました。代表的な事例が原子力産業です。尹政権は前政権下で事実上停滞していた原発産業を復活させ、原子力技術の海外輸出を積極的に推進しました。しかし野党は原子力研究開発に関連する予算を大幅に削減し、現政権の親原発政策にブレーキをかけました。
安保分野でも同様の状況が見られます。尹大統領は北朝鮮の脅威に対応するため、弾道ミサイル防衛システム、偵察衛星事業の拡大を試みましたが、野党は関連予算を無差別に削減しました。さらに国政運営を円滑に処理するために不可欠な大統領府の特殊活動費は全額削減されました。
第二に国民はこの戒厳令で、暗躍する反国家勢力の実態に注目し始めました。一部では、現代にスパイなどいるのかと疑問を呈する人もいますが、現実は異なります。北朝鮮をはじめとする外部の主権侵奪勢力と、韓国社会内部の反国家勢力が結託し、わが国の安全保障や自由民主主義体制を深刻に脅かしています。
例えば、2024年6月、当局は中国国籍の3人が釜山に停泊中の米空母や韓国軍事施設を撮影した疑いで捜査に乗り出しました。その結果、彼らは中国共産党の優秀党員で、数百枚に及ぶ類似の写真や映像をデータベースに保管していたことが判明しました。ですが、巨大野党の反対でスパイ法改正が無力化され、彼らに対する徹底的な調査と処罰を行うことができませんでした。
これに先立つ2023年には全国民主労働組合総連盟によるスパイ事件も発覚しています。当時、組合幹部は北朝鮮の工作員と接触し、指令を受けて軍事施設の情報などを北朝鮮に提供していました。彼らは北朝鮮の指示に従いストライキを強行し、韓米連合訓練への反対や尹大統領の弾劾を求める運動も全方位的に展開しました。
不合理かつ違法な審理
第三に国民は不正選挙と選挙管理委員会(選管委)の不備について、警戒するようになりました。12・3戒厳令当時、国会よりも多くの戒厳軍が選管委およびその関連機関に配置されましたが、これは決して過剰な措置ではありません。
選管委は、自らも認めているように、家族採用などの不透明な組織運営を行い、長年にわたり不正の温床となってきました。昨年4月、監査院は憲法史上初めて選管委に対する全数調査を実施し、その結果、過去10年間で1200件に上る採用不正が摘発されました。それに加え、投票用紙の欠陥をはじめとする数々の選挙不正も明るみに出ています。
これは選挙の公正性を損ね、国民の信頼を裏切る行為にほかなりません。選管委は独立した憲法機関であり、高位法官が中央選管委と各地域別選管委の委員長を務める特殊な組織構造を持つため、通常の法的手続きでは調査が事実上不可能です。こうした背景を踏まえ、尹大統領は大統領固有の非常権限を行使し、選管委の電算システムを点検する決断を下したのでした。
2月25日、憲法裁判所は尹大統領の弾劾訴追案が国会で議決されてからわずか73日で最終弁論を開きました。裁判所は11回の審理期日を設定し、異例の速さで裁判を進めました。その過程では裁判官たちによる不合理かつ違法な対応が随所で見られました。
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