韓国で何が起きているのか… 尹大統領の支持率が“驚異の回復”を見せている理由と、「内乱」の真実

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 世界中が驚愕(きょうがく)した昨年12月の韓国「戒厳令」。すぐに解除はされたが、宣布した尹大統領は弾劾裁判と刑事裁判の対象となり拘束された。しかし3月8日、大統領は釈放された。しかも支持率は50%を超え、弾劾無効デモも各地で行われている。いったい何が起きているのか。

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〈3月8日、尹錫悦(ユンソンニョル)大統領が釈放された。すでに韓国では弾劾反対と拘束撤回を求める大規模集会が度々行われてきており、かつては11%だった支持率も、1月の世論調査では50%を超える状況となっていた。

 昨年12月3日に非常戒厳令が宣言されて以降、尹大統領は内乱罪の容疑で国会による弾劾を受け、憲法裁判所で審理を受けた。8人の憲法裁裁判官のうち6人以上が弾劾は妥当と判断すれば、尹大統領は即時罷免される。判決は今月中旬に言い渡される見込みだ。

 一方で尹大統領は内乱首謀容疑で刑事裁判も受けており、有罪となれば、無期懲役、無期禁錮、あるいは死刑という厳しい判決が下される可能性もある。

 果たして12・3戒厳令は正当だったのか? 弾劾裁判と刑事裁判の焦点は何なのか? そして尹大統領はこの危機から復活できるのか? 今回、こうした重大な疑問を解明すべく、尹大統領の弁護団の一員であるソク・ドンヒョン弁護士に単独インタビューを行った。〉

時間の経過とともに戒厳令の必然性に気付いた国民

 非常戒厳令の宣布は、憲法に基づく大統領の国家緊急権の行使です。憲法の教科書では「統治行為」とも記され、そもそも司法介入の対象にはなりません。今回の12・3戒厳令は、1979年の朴正煕(パクチョンヒ)大統領暗殺事件以来、45年ぶりの発令で、韓国社会には戒厳令に対する深いトラウマが残っています。このため、当初は多くの国民が驚き、尹大統領の決断に批判的な声も少なくありませんでした。ですが時間の経過とともに戒厳令の必然性に気付き、大統領への支持が次第に強まっていました。

 それは第一に、国民が巨大野党による立法の暴走から目覚めたためです。過半数を占める「共に民主党」をはじめとする巨大野党は、尹大統領の就任初期から、行政府と司法府をまひさせることに専念してきました。2022年5月に尹大統領が就任してから今日に至るまで、野党は国務委員、検察官、監査院長などをターゲットに、なんと29件もの弾劾案を乱発してきました。

 尹大統領が国会で弾劾された後にも、韓悳洙(ハンドクス)大統領権限代行をはじめ、ソウル中央地検長などに対する野党主導の弾劾訴追案が通過しました。最近では、崔相穆(チェサンモク)大統領権限代行さえも、思い通りに動かないと弾劾を試みています。

 これらの案件はいずれも正当性のない政治的意図に基づいた策謀です。例えば、弾劾された3人の検察官は、「共に民主党」代表の李在明(イジェミョン)氏を捜査していた人物たちでした。

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