開幕ローテへ瀬戸際「小笠原慎之介」 第2の「今永昇太」と期待も、両左腕の“決定的違い”とは

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 昨季、メジャー1年目から15勝3敗、防御率2.91という圧巻の成績を残したカブスの今永昇太。ドジャースとの東京シリーズでは開幕投手の大役も務め、4回無安打無失点の好投。日本のファンに大きく進化した姿を披露した。一方で、「第2の今永昇太」になるべく渡米した、メジャー1年目の日本人左腕が窮地に陥っている。
【八木遊/スポーツライター】

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10年前の夏の甲子園で全国制覇

 それが昨季まで中日で9シーズンを過ごし、通算46勝を挙げた小笠原慎之介である。27歳の左腕は10年前の2015年に東海大相模のエースとして夏の甲子園を制覇。その秋に中日からドラフト1位指名を受け、鳴り物入りで入団した逸材だ。

 プロ入り後は度重なる故障に悩まされたが、2021年から昨年まで4年連続で規定投球回数に到達。プロ7年目の22年には自身初となる二桁勝利(10勝)をマークした。

 その後の直近2シーズンは黒星が先行しているが、これは打線の援護に恵まれないケースが多かったため。貴重なイニングイーターとしてチーム内外からの評価は高かった。

 そして迎えた24年オフ、小笠原はポスティングシステムを使ってのメジャーリーグ移籍を希望。佐々木朗希とは対照的にメジャー球団との契約交渉は困難を極めたが、期限ぎりぎりにナショナルズと2年契約の合意に至った。

 ただし、2年間の契約金総額は350万ドル(約5億5000万円)というもの。前年の年俸9300万円(推定)から大幅アップとはなるものの、メジャーでローテーションを期待される投手としてはかなり低い部類といえるだろう。

渡米直前の3シーズンは今永と同等の活躍!?

 チーム再建中のナショナルズとすれば、「ローテーションの一角を担ってイニングを食ってくれればもうけもの」というのが現実的な見立てだろう。ただ、同じ日本人左腕の今永がメジャー1年目でセンセーショナルな活躍を見せたこともあり、小笠原に「第2の今永」になる夢を託した側面も少なからずあるはずだ。

 というのも、サウスポー2人が渡米前の3シーズンに挙げた勝利数は今永の23勝に対して、小笠原は22勝。勝利数だけ見れば、両者に大きな違いはないとも考えられる。むしろ30歳でカブス入りした今永より小笠原が3歳若いことも、ナショナルズには大きな魅力だったかもしれない。

 しかし、約1か月間にわたるオープン戦において、小笠原はまだ結果を残せていない。

 小笠原はここまでオープン戦で4試合に登板し、1勝2敗、防御率7.56。16日(日本時間、以下同)の前回登板は6回を投げて3失点(自責点1)と結果を残したが、メッツ傘下の3Aチームが相手の練習試合だった。それでも6奪三振、無四球とアピールには成功。先発ローテーション入りに向けて首の皮一枚つながったといったところだろう。

 次回登板は21日のメッツ戦が予定されているが、同地区のライバル相手に少なくとも前回に匹敵する投球を披露したいところ。それが叶えば開幕ローテーション入りも見えてくるだろう。

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