東北新幹線トラブルでも「みどりの窓口」に長蛇の列…「指定席券売機」の改良が“中途半端”と指摘される根本的な理由
話せる指定席券売機の改良はあるのか
みどりの窓口の代わりとして登場した話せる指定席券売機は、そもそも設置台数が少ない。また、設置されていたとしても、オペレーターに繋がりにくく、長い列ができているという状況が見受けられる。話せる自動券売機の普及状況や、オペレーターに繋がりにくい問題について、対策を講じる可能性はあるのだろうか。
「2025年3月12日時点で、話せる指定席券売機はJR東日本管内で93駅97台導入しており、全体の指定席券売機のうち、割合としては1割弱となっております。話せる指定席券売機のオペレーターについては、お客さまのご利用状況に応じた体制を構築していますが、時期や時間帯等、お客さまが集中的にご利用になるタイミングで一定の混雑が生じていることを認識しております」
「そのような状況を受け、オペレーターを介さずとも発売可能な乗車券類については、可能な限り駅社員による券売機等のご案内及び操作をサポートするなど、駅とオペレーターが連携して適切な案内を行うことや、指定席券売機及びえきねっと等の機能増強を図っていくことにより、混雑の緩和に繋げていきたいと考えています」
回答を読むと、機械化を進めているにもかかわらず、駅員がサポートを行わなければいけない場面はたくさんあるし、実際に多そうである。駅に行っても高齢者が駅員にサポートされながら指定席券売機を操作している場面は日常茶飯事だし、機械に慣れている若者であっても操作に手間取っている場面を目にする。
飛行機の場合、ルートが羽田空港→伊丹空港のように単純なので、スマホで航空券の購入を完結させられる。ところが、鉄道の場合はルートが複雑で、東京駅から新大阪駅に行く方法だけでも何通りもある。さらに、到着した新大阪駅から奈良、神戸、和歌山方面に向かうパターンもあるだろう。鉄道の切符はセミオーダーメイド的な要素が強いため、どうしても人の手に頼る場面が生まれてしまうのである。
鉄道の運行には人の手が必要だ
JR東日本からは対策を十分に行う旨の回答があったが、極端なコストカットの取り組みに対し、利用者からクレームは寄せられないのだろうか。再び、社員のA氏に話を聞いた。
「お客さまから寄せられる意見を読んでいると、駅の時計が無い、窓口が無い、無人化になったせいで放送が無くなったなど、失われたものに対するお声は件数としてそれなりに存在感があります。しかし、上は“一度失くしたものは戻せない”というスタンスを貫いているので、正直、どんなに意見があっても無視されているのが現状だと思います」
A氏は、「なかには、ほぼ見られていない場所に設置されていた時計もあるので、正当性はある程度あるかと思います」と理解を示しつつも、「しかし、目立つところにある時計まで持っていかれた駅では、駅員に“今何時?”と時刻を尋ねる問い合わせが増えたそうです。コストカットして係員の手間が増えているなら、本末転倒な気がします」と話す。
相次ぐトラブルによって、みどりの窓口の必要性を実感した人は少なくないと思う。機械による自動化は「すべての機械がトラブルなく動いた場合に可能」なのであり、ちょっとしたミスが起きれば、人の手が必要になることが露呈してしまった。JR東日本はコストカットを図るのであれば、みどりの窓口を減らす前に、指定席券売機などのシステム改善に取り組むことが急務ではないだろうか。
前編【東北新幹線「連結外れ」でJR東日本に激震…「現役社員」が吐露したトラブル対応に影を落とす“失敗”とは】では、度重なる運行トラブルに見舞われているJ R東日本の現役社員が、現在の心境や、現在の現場の雰囲気、そして社の上層部に対する今の思いなどについて語っている。
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