東北新幹線トラブルでも「みどりの窓口」に長蛇の列…「指定席券売機」の改良が“中途半端”と指摘される根本的な理由
3月6日、東北新幹線の上野駅と大宮駅の区間を走行中の「はやぶさ21号」と「こまち21号」の連結器が外れるという、重大なトラブルが発生した。新幹線を運行するJR東日本は、昨年の9月にも宮城県の古川駅と仙台駅の間で同じトラブルを起こしている。原因が究明されたと発表し、運行を再開したはずだったが、また同じトラブルが起きてしまった。
JR東日本は原因がわかるまで新幹線の連結を中止すると発表した(3月14日に運行を再開した)が、その影響で駅は大混乱に陥っていた。JR東日本の大動脈である東北新幹線は、今回の「はやぶさ」「こまち」のように、10両と7両の列車を連結し、17両編成として運行することが多い。すべての車両が16両編成で運行される、JR東海の東海道新幹線とは大きく異なる点である。
連結ができないとなると、これまで17両で運行していた新幹線を10両のままで走らせなければならない。そのため、指定席をとっていたのに突然乗車できなくなる利用者が多く発生し、混乱が生じた。座席数が足りないため、自由席には立ち乗り客が増えるなどの混雑が引き起こされてしまった。
さらに、東京駅を出発した秋田新幹線「こまち」は盛岡駅まで、山形新幹線「つばさ」は福島駅まで東北新幹線の列車と連結し、それぞれの駅で分離して目的地に向かうという運行形態である。連結を中止した影響で、これらの新幹線が東京駅まで直通できなくなり、利用者に不便が生じた。こうした事態が生じた結果、大幅なコストカットのせいで激減した「みどりの窓口」は人で溢れかえった。現状について、また今後の対策について、JR東日本に問いただした(全2回のうち第2回)。
【写真】「みどりの窓口」の跡地に設置されているワーキングスペース。“こんなものより窓口の復活を”の声も
みどりの窓口を減らした弊害
突然のトラブルは旅行者が多い土日を直撃した。東京駅や大宮駅などのターミナル駅では、連日、みどりの窓口に払い戻しや乗車変更を求める利用者が長蛇の列を作っている。JRの紙の切符の払い戻しは、原則、みどりの窓口でしかできない。券売機で買った切符ですら、新幹線の切符を払い戻す場合はみどりの窓口に行く必要があるのだ。
JR東日本といえば、コストカットの一環としてみどりの窓口の廃止を積極的に進めてきた。窓口を廃止する代わりに導入されるケースが多いのが指定席券売機だが、その機能は窓口と比べ、著しく劣っていると言わざるを得ない。乗車変更や払い戻しが満足にできないためだ。
昨年から指定席券売機でもある程度は払い戻しができるように改良されたようだが(この事実を知らない駅員も多い)、それでも寝台特急の寝台券のような横長の切符には対応していないうえ、今回のようなトラブルに見舞われて運休になった列車の切符を無手数料で払い戻すこともできない。中途半端な仕様のため、トラブルが発生すると、窓口がある駅に乗客が殺到する羽目になる。
さらに、指定席券売機では東京駅→秋田駅の列車を“同じ日”に“同じ区間”を走る“別の列車”に変更することはできるが、乗車日が異なる切符や、別区間を走る列車に変更することはできない。例えば、3月9日に利用する東京駅→秋田駅の新幹線の切符を、東京駅→仙台駅に変更する、この程度のことができないのである。
できないことがいろいろあるため、駅員もなにができるのか十分に把握できていない。要は、指定席券売機にみどりの窓口の機械でできる業務をすべて搭載すればまったく問題ないのだが、JR東日本はそういった機能の強化を一切行わないまま、みどりの窓口の閉鎖を進めてきた。そのせいで、連日のように駅が払い戻しや変更を求める客で大混乱に陥り、怒号が飛び交う事態になっているのだ。
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