東北新幹線「連結外れ」でJR東日本に激震…「現役社員」が吐露したトラブル対応に影を落とす“失敗”とは

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 3月6日、東北新幹線の上野駅と大宮駅の区間を走行中の「はやぶさ21号」と「こまち21号」の連結器が外れるという、重大なトラブルが発生した。東北新幹線を運行するJR東日本は、昨年の9月にも宮城県の古川駅と仙台駅の間で同じトラブルを起こしている。

 当初、JR東日本は原因が究明されるまで当面の間、連結運転を取りやめると発表した。しかし、結局は応急処置を施して3月14日には連結運転を再開した。それは連結器を金具で固定するというアナログな対応を行うもので、「原因がわからないまま運行を続けていいのか」との批判も巻き起こっている。

 昨年9月に続き、大事故につながりかねないトラブルを引き起こしたJR東日本は、これまでみどりの窓口の削減や、駅の時計を減らすなどのコストカットを積極的に推進してきた。その一方で、駅のテナントビル化を進めるなど、不動産事業には熱心に取り組んでいる。肝心の鉄道がないがしろにされている感は否めない。

 相次ぐ重大なトラブルに振り回されているのは、利用者だけではない。現場で働く職員も同様である。トラブルが発生した当日も勤務していた現役社員のA氏によると、職員の間でも様々な意見が飛び交っているという。社員として会社に対し感じることについて、話を聞いた(全2回のうち第1回)。

「対策したと言っていたのに」

――新幹線の連結器がまた外れてしまいました。社員として、率直にどう思いますか。

A:正直、高度な技術的な部分は、駅にいる営業系の人間には理解できません。私は運転士でも、整備に関わる人間でもないので、「対策したと言っていたのに、なぜ!?」と素直に驚きました。というのも、昨年9月にも同様のトラブルがありましたが、会社の説明を受けて「対処が終わったもの」と私の職場では認識していたからです。そんななかで再び起きたトラブルには、さすがに驚くしかありませんでした。

――トラブルが明らかになったとき、社内ではどんな反応がありましたか。

A:社員の間でも衝撃は広がっています。私のようにただ驚くしかない社員もいれば、「9月の際になぁなぁで済ませたから再発したんだ」と疑念や怒りを募らせている社員もいます。後者はどちらかというと、中堅以上の組合寄りの社員ですね。ただ、今回は昨年9月の時よりも重大だと思っています。この先の見通しの情報や、上層部の対策会議の情報がほぼ現場に降りてこないためです。

――もうすぐダイヤ改正がありますし、多客期のシーズンですよね。混乱も大きいのでは。

A:おっしゃるとおりで、ダイヤ改正前の時期にこんなことが起きてしまい、もう現場はしっちゃかめっちゃかです。当日出勤していましたが、情報が全然来ないまま、新幹線の指定席の発売保留がかかるなど、大変なことになっていました。ただでさえ、みんなダイヤ改正前チェックで大慌てになっているところに今回の大混乱が重なったので……。幸い、私が勤務する駅は、山形新幹線や秋田新幹線とは縁のないエリアなのでまだマシですが、山形や秋田の社員は……地獄だと思いますね。

――上層部から、「この件は外にしゃべるな」などの箝口令が出るなどのようなことはありましたか。

A:箝口令は出ていません。そもそも現場に情報が来ていないので、私たちも情報を把握できていないのです。よく、「社員なんだから、内部のことは詳しいだろ」と言われることがありますが、一般の駅員が把握している情報なんて、マスコミに向けて出ているものと同程度なんですよ。

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