東北新幹線「連結外れ」でJR東日本に激震…「現役社員」が吐露したトラブル対応に影を落とす“失敗”とは

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「体制が今一度見直されないと変わらない」

――「今後、JR東日本は大事故を起こしかねない」という指摘もネット上にありました。社員としてどう感じますか。

A:ご指摘はもっともなものです。社員としても、世間に大変ご心配、ご迷惑をかけていると痛切に感じています。もちろん、私たちはここで踏みとどまりたい、大きな事故は起こしたくないという強い思いはあります。現場としては実直にやっていくしかないですが、組織としての体制が、今一度見直されないといけないのかな……という気持ちもあります。現在の会社に求められているのはコストカットではなく、人材に投資することだと思います。

――鉄道会社は最近、“カスタマーハラスメント”を撲滅しようと盛んに宣伝していますよね。しかし、これほど重大なトラブルが相次ぐと、現場の社員に対してクレームはもちろんですが、カスハラがますます発生してしまうのではありませんか。

A:現に、運賃の支払いを拒否されるトラブルが発生しているようですし、みどりの窓口では駅員を罵倒するお客さまが多いです。何時間も遅れたり、急に運休になったり、目的地にちゃんとたどり着けなくなったりすると、怒りたくなるお気持ちはわかります。ただ、我々も企業として対応するため、落とし所が難しいですよね……。

――現場の士気が下がってしまうのではないでしょうか。

A:フリー切符の「キュンパス」の売れ行きが好調だったため、今年に入ってから、現場はわりと忙しく活気がある状態になっていました。繁忙期のように気合いを入れて仕事をしていましたよ。ただ、このタイミングで原因不明なトラブルが起き、現場の体力も気力も削られたのは確かです。もちろん、こういった状況だからこそ、丁寧にお客さまに向き合うべきだと考えている真面目な社員もたくさんいます。

――鉄道会社の社員としての誇りを失わない人がいるのは、頼もしいことだと思います。今後、社員はトラブルにどう向き合っていくべきだと思いますか。

A:現場の肌感覚ですが、ここ2~3年はトラブルが起きてもサラッと流されがちだったと感じます。なので、個人的な意見ですが、すべての社員がもっとトラブルを大事として向き合う必要性があると考えています。

後編【東北新幹線トラブルでも「みどりの窓口」に長蛇の列…「指定席券売機」の改良が“中途半端”と指摘される根本的な理由】では、指摘される様々なトラブルについてのJR東日本の見解を報じている。

取材・文=宮原多可志

デイリー新潮編集部

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