テスラ株急落「マスク氏」は“ビジネスと政治”の板挟みで窮地…禁断分野の「削減」に着手で「トランプ氏との蜜月関係」は終焉間近か
裏目に出たトランプ氏の「臨時会議」
米共和党のジョンソン下院議長は3月4日、同党の議員に対し、公開方式で実施される有権者との対話集会への参加を控えるよう呼びかけた。連邦政府職員の解雇などへの不満から、集会で激しい衝突が起きる事例が発生しているからだ。
側近や一部の閣僚からもマスク氏の独断専行ぶりに不満が高まりつつあるが、トランプ氏は同氏を擁護する姿勢を崩していない。
2月26日に開かれた初の閣僚会議の場でトランプ氏は「イーロンに不満を持っている人はいるか。もしいるならここから追い出すぞ」と発言し、マスク氏への支持を迫ったが、
混乱が収束することはなかった。
そして3月6日には、マスク氏と閣僚との間で意思疎通を図ろうと臨時会議を開いたが、これが裏目に出てしまった。
DOGEへの反発が起こす数々の嵐
3月7日付のニューヨーク・タイムズは、マスク氏とルビオ国務長官がこの臨時会議の席上で、連邦職員の解雇問題をめぐり言い争いになったと報じた。両者の激しいやりとりを聞いていたトランプ氏は、「マスク氏の権限は各省庁への勧告にとどまる」との認識を示し、DOGEの活動に歯止めをかけたという。
トランプ氏は3月11日に開催されたホワイトハウスのイベントでテスラ車に乗り込み、マスク氏を引き続き支持する姿勢をアピールした。だが、筆者はマスク氏の存在が今後の政権運営の足かせになるのではないかと考えている。
米連邦議会では3月14日、ぎりぎりのタイミングで9月末までのつなぎ予算が成立した。交渉が難航した原因は、野党民主党によるDOGEへの反発だった。上院の民主党トップであるシューマー院内総務が賛成に回ったことで、政府機関の閉鎖は回避されたが、議会運営は今後さらに厳しさを増すことが予想される。
トランプ政権は公約に掲げる減税法案の成立を急ぐ構えだが、「DOGEの強引な歳出カットに歯止めをかけろ」という民主党の要求を飲まない限り、その実現は困難だろう。
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