ネットオークションに「ファン垂涎のグッズ」が次々と…“コレクターの終活”だけじゃない“掘り出し物”が出回る意外な理由
オークションに貴重な品物が続々出品
コロナ禍が始まった2020年頃から、ネットオークションやフリマサイトに、これまではなかなかお目にかかれなかった極めて貴重なヴィンテージ玩具や漫画家の原画が、かなりの頻度で出品されるようになったと、コレクターの間で話題になっている。コロナウイルスが5類になった2023年からはその勢いが加速していると、サイン色紙コレクターのT氏は言う。
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「これまで、オークションサイトやフリマサイトは偽物の温床と言っていいほど、偽物がたくさん出品されていました。その状況がここ数年で急激に変わっています。今年になっても、おそらく数年に一度しか出なかった宮崎駿氏の本物の原画や、数百点に1点ほどしか本物が出ない高橋留美子氏の本物の色紙など、ファン垂涎の逸品がオークションに出ているのです」
これらのオークションの出品者を見てみると、あることに気づく。同一の出品者が、貴重な原画を何点か出品していたり、ヴィンテージ玩具、昭和20年代の貴重な漫画本などを同時に出品したりしているのだ。たまたま実家を片付けて見つかったり、大掃除で出てきたりしたものを出品しているのではないようである。T氏が言う。
「あまりに多く品物を出している人を見て、よくいる贋作者かなと思ったのですが、何度見ても本物なのでびっくりしました。出品している品物の質の高さから、この道何十年というコレクターが出品していることがわかります」
コレクターの終活が加速している?
ソフビ人形やブリキの玩具のコレクターとしても有名なお笑い芸人の笑組(えぐみ)のかずお氏にも話を聞いた。かずお氏も、「最近はかなり質の高いものが出てきていて、コレクターをざわつかせています」と語り、その背景にはいわゆる“オタクの終活”が進んでいることが影響しているのではないか、と分析する。
「私の見解だと、コレクターの高齢化が進み、自分が生きているうちにコレクションの整理をしているのではないかと思います。今はソフビやブリキが大ブームなので、購入したときよりも何倍も高い金額で売買できることがありますし、コレクター本人ならば、その貴重さが分かりますからね」
しかし、どんなに高額で売却できるとはいえ、コレクターがコレクションを手放すのは精神的なダメージも大きいのではないか。それでも売却を決断する要因を、かずお氏はこう推測する。
「森永卓郎さんのように財産がある方は、それこそ“森永卓郎コレクション館”みたいな施設を建てて、一般に公開するといったこともできます。しかし、なかなか我々一般人はそこまではできないですからね。やはり、お金に替えるのが、家族に迷惑をかけることもなく、自然な流れかと思います。熱心なコレクターはコレクションを撮影しておき、その写真を棺に入れて一緒に焼いてもらう……なんてことも聞きます」
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