「50年前は50人に1人だった乳がん、現在は9人に1人に」 専門家が指摘する早期発見方法とは
老後に子宮頸がんになることも
また他の部位におけるがんと異なり、若年層が罹患するイメージが強い子宮頸がんだが、検診については年齢の上限がない。
「特に推奨するという意味では69歳以下としていますが、日本人は残念ながら定期的に検診を受けていないので、過去のデータベースから考えようにも、何歳になったら本当に検診を卒業していいのかは、なかなか断言できません」
70歳代であっても、性交渉から新たにHPVに感染することはあり得るという。
「直近で性交渉がなかったとしても、過去のHPVウイルスが体内に残ったままなら、老後に免疫が弱まったことで再度活発化し、子宮頸がんになってしまうこともある。とにかく予防のためにも、きちんと定められた期間に検診することが何より大切です」
PETの診断能力は?
厚労省の指針にはないものの、「PET」や「腫瘍マーカー」といった検査法を耳にしたことはないだろうか。人間ドックや会社の定期健診などで、オプションとして勧められる機会も多いが、ここまで紹介してきた「五大がん」の早期発見には、どれだけ役に立つのか。
『医者がマンガで教える 日本一まっとうながん検診の受け方、使い方』の著者で「近藤しんたろうクリニック」院長の近藤慎太郎氏に聞くと、
「がん細胞は、正常な細胞よりも活発に増殖するため、大量のブドウ糖を取り込みます。そこでPET検査は、分布が可視化されるように放射性同位体のついたブドウ糖を体内に注射し、CTやMRIで撮影することで、がん細胞を探す。ただし全てのがんをカバーしているわけではありません。また診断能力でいえば、全てのがんのうち約半分が見逃されたという報告もあり、個別のがん検診の方が優れていると思います」
体内でがんが生じると、がん細胞によって作られる物質が尿や血液に現れ異常値を示す。それを調べる腫瘍マーカー検査は、本来がん再発の有無を確かめることに優れており、前立腺がん以外では早期発見に向いていない。
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