「50年前は50人に1人だった乳がん、現在は9人に1人に」 専門家が指摘する早期発見方法とは

ドクター新潮 ライフ

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「遺伝性乳がんの場合は、若くして発症すれば進行もとても速い」

 例外として、2親等以内に2人以上の乳がん患者がいる場合は「遺伝性乳がん」の因子を持っている可能性が考えられ、同じ遺伝子由来の「卵巣がん」に罹患するリスクも高い。25歳くらいから遺伝子検査などで発症リスクの有無を確認する方法もあるとして、富永氏はこう話す。

「検査で遺伝子に変異があり、遺伝性乳がんのリスクが高いと判断された場合には、がんになる前の時点で病巣となる乳房と卵巣を予防的に切除してしまうか、25歳から年1回の乳がん検査を行う対策を取るしかありません。乳がんは基本的に進行が遅く、発症も40歳以降で『閉経後のがん』と考えられがちですが、遺伝性乳がんの場合は、若くして発症すれば進行もとても速いので、別物として考える必要があります」

 いずれにせよ、乳がん検診では乳房専用のレントゲン撮影機「マンモグラフィ」を用いるのが必須と言っていい。死亡率減少効果にエビデンスを持つためだが、

「日本人は、良く発達している状態の高濃度乳房の方が多いのですが、それだとマンモグラフィ全体が白くなってしまって病巣が見分けにくい。超音波によるエコー検査までやった方が、高精度に検査ができるのでベターだと思います。日本人の場合は乳房が比較的小さいですから、エコー検査で病巣が映りやすいのです」(同)

「年に1回、乳がん検診を受けるのが一番よい方法」

 マンモグラフィには「2D(平面)」と「3D(立体)」のタイプがあるが、後者は撮影枚数が多い分、被曝量が増えてしまう。

「決して3Dだから早期発見をしやすいわけではなく、エコーを併用するなら2Dで十分だと思います」(富永氏)

 また乳がんでは、触診などで「しこり」を見つける「セルフチェック」を推奨された方もいるかもしれないが、富永氏はそれよりも定期的な検診を強く勧める。

「実はセルフチェックで見つけたしこりは、がんではなく良性のものが多い。見つける度に病院へ行って検査を受ければ、精神的にも肉体的にも負担がかかり、費用もかさみます。それなら年に1回、乳がん検診を受けるのが一番よい方法だと思います」(同)

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