バリウムより胃カメラ? エックス線検査では見落としも! がん検診の部位別の最適解を専門家が徹底解説
「早期の食道がんの85%が、胃カメラで見つかる」というデータも
胃カメラで発見された胃がんのうち、早期がんは8割を超え、バリウム検査よりも発見率は高い。また胃カメラが胃に向かう途中で、「食道がん」の検査も同時に行えるというのだ。
近藤氏が続けて話す。
「実は早期の食道がんの85%が、胃カメラで見つかっているというデータもあるのです。一方、早期の食道がんのうちバリウム検査で見つかるのは11.2%とされています。もともとバリウム検査は、エックス線でバリウムがたまった部分は白く、たまらないところは黒く映るので、その陰影を利用して臓器の凸凹を観察します。食道だとバリウムは滞留せずにサーッと数秒で流れていってしまうので、撮影するにしても、チャンスはその間だけに限られてしまうのです」
「過度な飲酒、喫煙をする方などは胃カメラを」
これだけ聞けば、もはや「胃カメラ一択」だと思ってしまうが、実際はそんなことはないようだ。どちらの方法にも一長一短があるという。
「当然、体の中に異物を入れることになりますから、まれにですがカメラと胃の内部の粘膜が擦れて出血する可能性もあります。また胃壁の内部で成長するスキルス胃がんの発見には、バリウム検査の方が有効かもしれません」
胃カメラを口から入れる場合は、吐き気を催すなど苦痛を伴うケースもある。それがトラウマになっているという方もいるだろう。
検診前に麻酔を施すか、胃カメラを鼻から入れて痛みを和らげることも可能だが、対応していない医療機関もあるという。
それでも胃カメラで検診すべき場合について、近藤氏はこう話す。
「日常的に過度な飲酒や喫煙をする方、逆流性食道炎を患っている方は、『食道がん』のリスクが大きいとされていますから、胃カメラを選択するのがいいと思います」
後編【「50年前は50人に1人だった乳がん、現在は9人に1人に」 専門家が指摘する早期発見方法とは】では、「五大がん」のうち、今回紹介した、肺がん、大腸がん、胃がん以外の乳がん、子宮頸がんの検診について徹底解説する。
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