維新が胸を張る「高校の授業料無償化」に税金の無駄遣いの声…お膝元「大阪」で名門府立高が定員割れの衝撃 専門家は「教育が“弱肉強食”を加速させかねない」
偏差値の高い公立高校でさえ受験生は減るのか──保護者や教育関係者の驚きは、この一文に集約されるだろう。大阪府民は“寝屋川ショック”と衝撃を受け、新聞社やテレビ局も全国ニュースとして報道した。大阪の府立高校で入試倍率が発表されたのだが、何と75校中35校で定員割れ。資料には半分に近い府立高校で倍率が0・97、0・66、0・51、0・34……という数字が列挙された。
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高校名は伏せるが、極端に倍率が低い府立高の偏差値は40台や30台が散見される。これは教育関係者も覚悟はしていたようだ。しかしながら府立寝屋川高校の倍率が0・94倍となると話は違ってくる。
寝屋川高校の創立は1909年、つまり明治42年であり、まさに伝統高と言えるだろう。女子校としての歴史が長かったが、戦後に男女共学となった。
民間の教育産業が府立高校の偏差値ランキングを発表している。これによると寝屋川高校は偏差値68で11位。母集団は異なるが、都立高のランキングに当てはめると、駒場高校や新宿高校、小山台高校などが該当する。どの都立高も有名大学への進学者が多いことで知られている。
寝屋川高校も同じだ。公式サイトに記載された進学実績には関西の有名大学が並んでいる。最新のデータでは大阪大学に3人、神戸大学に1人、同志社大学には55人、立命館大学には77人が現役合格……という具合だ。担当記者が言う。
「今年の府立高校全体の志願者数は約3万4000人で、平均倍率は1・02倍。共に過去最低を記録しました。大阪府では高校授業料の実質的な無償化が進んでおり、これが大きな影響を与えたと考えられています」
全国で“寝屋川ショック”の可能性
大阪府の私立高校は応募時に「合格したら必ず入学する」と約束する「専願」を行うと、合格基準が下がるという制度がある。
「無償化により、府立高校と私立高校の学費に差はなくなりました。となると、多くの中学生は合格を最優先にします。『私立専願で確実に合格したい』、『私立に合格したら、府立高の入試が行われる3月まで受験勉強するのは嫌だ』と判断したとして何の不思議もありません」(同・記者)
また、大阪府は条例で「3年連続で定員割れとなった府立高校は統廃合の対象になり得る」と規定している。
だが府民だけでなく、教育に高い関心を持つ層は「寝屋川高校のような進学校まで統廃合の対象になるのは間違っているのではないか」と考え、意見をSNSに投稿している。
今後は、全国で高校授業料の実質無償化が実施される。“寝屋川ショック”は単に大阪だけの話ではないのだ。Xを見ると《維新の教育政策は日本を根底から破壊》、《大阪でこれですよ、全国的に無償化すればもっと影響が甚大だと予想がつく》──こうした批判的な内容も少なくない。だが維新は「正しい政策だ」と胸を張る。
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