CD通販番組「音楽のある風景」が23年の歴史に幕… 1万円超の高額セットが売れ続けたワケ

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25周年を目前に放送終了のなぜ

 こうした需要に応えることで、音楽のある風景は23年も続く長寿番組になったのだろう。ではなぜ、25周年を目前に放送終了となったのか。

 音楽関係者からは「制作費の問題があるのではないか」という声があった。番組では、ムード音楽や演歌では夜のネオン街の映像が、フォーク・ロックでは60~70年代の懐かしい映像が流れる。音楽にマッチした映像を制作側は用意する必要があるが「その使用料がかさんだのでは」というわけだ。

 しかし前出の勝裕氏によると、放送終了の要因は制作費よりも「放送するにあたり局に支払う電波料の高額化」だという。放送関係者が解説する。

「番組の開始当時は、BS放送の電波料は比較的に安かったはずです。しかし時代とともに視聴者も増えてきたこともあり、電波料はアップしています。そもそも通販番組の場合は、通常の番組よりも割高になりがちなんです。しかも『音楽のある風景』の場合はCD商品に特化している。多種多様な商品を販売する通販番組とちがって『どれかは売れるだろう』というリスク分散がしにくい。ゆえに、定期コストになる電波料の負担は、番組継続において致命的な問題になります」

 勝裕氏は「番組の継続に向けて、他のメーカーさんとも協議するなどで、あらゆる検討した」と言うが、最終的には放送を断念するしかなかったという。つまり、費用対効果が見合わないと言うわけだ。『音楽のある風景』の大ファンであることを自負してきたスポーツ紙の音楽記者は、終了をこう惜しむ。

「残念という以外の言葉はありません。今後はYouTubeやSNSを使っての販売を模索しているようですが、正直言って難しいかもしれませんね。中高年層には操作がわからなかったりする人も多い。とはいえそういう世代に『だったら音楽を聴かないでいい』などとはならないですからね……どうすればいいのでしょう」

 音楽業界は「多様性」をひとつ失うことになるのかもしれない。

渡邉裕二(わたなべ・ゆうじ)
芸能ジャーナリスト

デイリー新潮編集部

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