若者と付き合うのは「カネと時間のムダ」なのか? 51歳の編集者が気づいた「まだ何者でもない彼らと付き合うことにこそ価値がある」

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下北沢の焼き鳥屋で…

 私はこれまで、数多くの若者と飲み会を共にしたり、バイトとして雇ったりといった形で付き合ってきた。若者といっても金のない学生が多く、その場合、こちらが飲み会の費用はすべて持つのが筋であると私は思うのでそうしてきたし、バイトとして雇った場合も、報酬は一般的なバイトに比べてかなり割の良い金額を支払った。

 ところが、飲み会を開催するにあたり、学生がいることを同世代のオッサンに伝えると「そいつの分をオレも支払うんだろ? しかも知識も含めてこちらが与えるだけで意味がないからオレは行かない」と言われることもあった。しかし、若者と付き合うことは後の自分の人生にとって良いことが多いと齢51にして思う。

 先日、文藝春秋のYouTubeの収録に参加したのだが、そこにいた制作会社の若者が「お久しぶりです。僕のこと覚えていますか?」と言ってきた。「〇〇先生のゼミの課題で……」と切り出したのですぐに「あぁ、下北沢の焼き鳥屋で4人で飲みましたよね! よく覚えています」と答えた。

サークルの後輩から仕事をもらえるように

 第一次トランプ政権発足直後、マスコミ論の大家である先生の門下生だった彼からある日突然連絡が来て、フェイクニュースについて意見を聞かせて欲しい、と相談され、彼らと会った。あれから8年ほど経っていたが彼には当時の面影があり、思わず「立派になりましたね」と言ってしまった。20代後半で現場を仕切るようになった彼との再会は思いがけず嬉しかったし、彼のお陰でYouTubeの収録もスムーズに、楽しく進めることができた。

 こうした経験は過去に何度もあった。早稲田大学の講座でゲスト講師をした後に「僕のサークルの取り組みを記事として書かせてほしい」と言われた。早稲田の学生に避妊具を配るという取り組みは共感できたため、私が編集者を務めていたサイトで彼の原稿を掲載した。彼は無事にメディア企業に就職でき、その後、私に連載をさせてくれるようになった。

 私が学生時代に所属していたプロレス研究会の後輩たちにはライターのバイトをしてもらったり、興行の時に接点を持ったりしていたが、彼らの就職後、仕事をもらえることになった。彼らというのは、TBSラジオの名物プロデューサーだった“橋P”こと橋本吉史氏、週刊ポスト編集長の酒井裕玄氏、テレビブロス編集長の塚崎雄也氏である。

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