「センバツ開幕」もスカウト陣の表情が暗い!? 「今年はピカイチが1人いるが、他に候補の選手が少ない印象で…」
野手には守備の高評価な選手が複数
一方の野手は、小堀弘晴(健大高崎・捕手)と蝦名翔人(青森山田・二塁手)、赤埴幸輝(天理・遊撃手)、阿部葉太(横浜・中堅手)を挙げたい。
小堀は、昨夏まで絶対的な正捕手だった箱山遥人(トヨタ自動車入社予定)がチームにいた影響で、昨秋から公式戦でマスクをかぶっているが、それを感じさせない好守が光る。安定したキャッチングと正確で速いスローイングが持ち味だ。打者としても、昨秋の関東大会4試合で15打数8安打と見事な成績を残している。今大会に出場する捕手では筆頭格と言えるだろう。
蝦名は中学時代、U15侍ジャパンに選出された大型内野手。巧みなリストワークでセンター中心に鋭い当たりを放ち、細かいステップと柔らかいハンドリングを生かした守備も好レベルだ。プレーのスピード感が出てくれば、さらに評価は高くなるだろう。
赤埴は、関西の高校球界で注目度の高いショートだ。捕球も送球もプレーに丁寧さがあり、肩の強さは申し分ない。長いストライドを生かしたベースランニングは迫力十分で、プロが高く評価する要素を多く備えている。昨秋はまだ細身だっただけに、打撃面でパワーアップしてくるかに注目が集まる。
そして、阿部は、名門の横浜で入学直後からセンターを任されている強打の外野手。打順は1番を打つことが多いが、豪快なスイングでスタンドまで叩き込むパワーは十分だ。3月7日に行われた東京大との練習試合でも、特大の一発を放っている。脚力と球際の強さも大きな魅力で、外野手の総合力は、今年の高校生でも屈指の存在と言えるだろう。
「今年はドラフト候補が少ない印象」
ここまで投手6人、野手4人の計10人のドラフト候補を挙げた。ただ、プロのスカウトからは、実力や将来性以外のところで厳しいという声があることも事実だ。
「(健大高崎の)石垣は実績もあって、どの球団も熱心にチェックしていると思いますが、他の選手は、正直に言えば、ドラフト候補が少ないという印象です。こちらが楽しみだと思っていた選手で、早々に大学進学や社会人へ進むことを決めているケースが目立ちます。選抜に出場する選手の中にも、そういう選手は少なくないです。大学も社会人も年々進路調査が早くなっていて、プロから高い評価でなければ、まず(大学や社会人から)内定をもらってしまおうと考える選手が増えているように感じます。特に、今年はそのような傾向が強いです」(セ・リーグ球団スカウト)
昨年の選抜でランニングホームランを放つ活躍を見せ、高校生の外野手ではトップクラスと言われていた大阪桐蔭の境亮陽(法政大進学予定)も、早々にプロ志望届を提出しないということは話題となっていた。今年の有力選手の中にも同様の決断を下すケースは多そうだ。
ただ、短期間に急成長するのも高校生の大きな特徴であり、昨年のドラフトで上位指名を受けた柴田獅子(福岡大大濠→日本ハム1位)や藤田琉生(東海大相模→日本ハム2位)は春から一気に評価を上げた選手である。今年の選抜でも、彼らのように驚きの成長を見せてくれる選手が出ることを期待したい。
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