「センバツ開幕」もスカウト陣の表情が暗い!? 「今年はピカイチが1人いるが、他に候補の選手が少ない印象で…」

スポーツ 野球

  • ブックマーク

「春はセンバツから」という言葉があるように、アマチュア野球の主要カテゴリーで最初の大きな大会でもある選抜高校野球が3月18日に開幕する。2025年のドラフト戦線を占う意味でも重要な大会となるが、果たしてプロのスカウトたちが注目する有力候補にはどんな選手がいるのだろうか。選考対象となった選手の昨秋のプレーぶりなどから探ってみたい(学年は全員3年)。【西尾典文/野球ライター】

 ***

「涼しい顔をして150キロを投げる」

 まず、全てのポジションを通じて今大会最大の目玉と言えるのが、健大高崎のエース、石垣元気だ。背番号10で出場した昨年の大会では5試合全てに登板。準決勝の星稜戦では最速150キロをマークすると、決勝の報徳学園戦でも先発として8回を投げて2失点と好投し、チームの初優勝にも大きく貢献している。

 同学年で背番号1を背負っていた佐藤龍月が怪我で離脱した夏の甲子園以降はエースとなり、昨秋も安定した投球を見せて関東大会で準優勝と3季連続となる甲子園出場を決めた。ストレートがコンスタントに150キロを超える出力の高さは歴代の高校生投手としても指折りの存在だ。

 NPBのスカウトも、石垣について、以下のように話している。

「高校生で150キロを超える投手は珍しくなくなっていますが、石垣は無理なく投げて速いボールを投げられるところが素晴らしい。涼しい顔をして150キロを投げる。そこまで体が大きいわけではありませんが、体の芯というか体幹がしっかりしているように見えますね。コントロールは少しアバウトですが、ストライクゾーンで勝負できる球威がある。選抜に出場しない選手も含めて、高校生のピッチャーでは、真っ先に名前が挙がる選手になると思います」(関東地区担当スカウト)

 3月2日に行われた日大三との練習試合でも最速150キロをマークしており、NPB4球団、メジャー3球団のスカウトが視察に訪れている。今年の大学生投手は、昨年の金丸夢斗(関西大→中日1位)のような圧倒的な存在がいないだけに、選抜の投球次第では、全カテゴリーを通じて投手の目玉となる可能性もありそうだ。

大学進学か、プロ入りか

 投手で石垣に次ぐ存在と言えるのが、阪下漣(東洋大姫路)だ。中学時代から関西では評判の好投手として知られ、東洋大姫路でも入学直後から公式戦で登板。昨秋は、エースとしてチームを近畿大会優勝、明治神宮大会ベスト4進出に導いた。ストレートのスピードは140キロ台前半が多く、数字的にはまだ少し物足りなさはあるものの、両サイドにしっかり投げ分ける制球力の高さは高校生としてはトップレベルだ。昨秋の近畿大会、大阪学院大高戦ではわずか90球で9回を完封する“マダックス”も達成して話題となった。

 大学に進学して、もう少しスケールアップしてからプロを狙う投手のように見え、実際、既に多くの強豪大学が調査に乗り出している話も出ている。しかし、選抜でさらに成長したところを見せてプロ志望という話になれば、リストアップする球団は多いだろう。

 その他の投手では、石垣の控えながら実力のある左腕の下重賢慎(健大高崎)、同じ左腕で1年秋から登板を重ねている奥村頼人(横浜)、ともに背番号は二桁ながら140キロ台後半のストレートが魅力の宮口龍斗(智弁和歌山)や行梅直哉(高松商)らも面白い存在となりそうだ。

次ページ:野手には守備の高評価な選手が複数

前へ 1 2 次へ

[1/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。