「世界王者になれたはずの男」は黒人差別に蹂躙された… 冤罪で19年服役したボクサー「ルービン・カーター」の生涯(小林信也)

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 1960年代に活躍した天才ボクサー、ルービン・カーターは、強打と連打のすさまじさから「ハリケーン」の異名を取った。

 彼の生涯は、黒人であったがため、筆舌に尽くし難い闇に包まれ続けた。アメリカにはそんな暗黒の時代があった……。

 64年12月、ハリケーンはWBC、WBA世界ミドル級王座に挑戦した。チャンピオンは両タイトルを持つ白人ジョーイ・ジャーデロ。15ラウンド戦って、勝負は判定に持ち込まれた。実況席も詰めかけたファンもハリケーンの勝利を疑わなかった、と伝説は言う。...

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