テンションが低くてリアクションは皆無…それでも「飼っている亀との日常」を描いたコミックエッセイが話題沸騰の理由

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亀好きは愛情深い

 カメユさんは、2020年から一人暮らしを始めたが、慣れない生活で世話をできるかどうか不安だったので、亀を連れて行くことはできなかった。だが「寂しさに耐えかねて」2年後に実家から「亀ちゃん」を連れてくる。今回の作品は、それからの生活を描いたものだ。

「その頃、描いていた連載が終わり、次の作品へ向けて原稿を描いていました。でも、ボツになることが続いて……。メンタル的にもきつくなった時にふと、気づいたんです。普段は素っ気ないけれど、亀だけはフラットなまま私に接してくれる。なんだか慰めてもらっているようで……これをマンガにしてみようかと思ったんです」

 Xにアカウントを作り、4コマをアップし始めた。60本ぐらい作ったところで、10本まとめて投稿したところ、これが大反響を呼び、コミック化のきっかけにもなった。

「フォロワーは0人からスタートしましたが、今は亀だけで7000人です(笑)。水槽だと重いし、大きくなった亀には衣装ケースを使うとか、亀のシェルターに100均で買ったゴミ箱を使うというエピソードに反響がありました。コメントを見ると“前に飼っていた”とか“ウチにもいた”“そういう飼い方をすればよかったんだ”と、なぜか過去の話が多いなと思ったんですが……」

 環境省によると、ミシシッピアカミミガメは1950年代後半から「ミドリガメ」と呼ばれる子ガメがペットとして輸入され、2019年時点で全国約110万世帯・160万匹が飼育されていたと推計される。しかし、川や池に捨てられるケースが相次ぎ、2022年の外来生物法改正により、ペットとしての飼育を認めながら規制する「条件付特定外来生物」になった。つまり、現在はペットショップなどで入手することはできない。

「亀が好きな人はニッチだけど、愛情が深いんだなと感じています。私が思っていた以上に亀好きの人が沢山いると分かって、本当に嬉しかったです」

 担当編集者によると、読者層は男女を問わず20代から60代までと幅広く、飼育歴のある読者からは「あるあるの連続で楽しい!」との声がある一方「亀を飼ったことがないけど、面白かった」という読者もいたという。

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