先が一向に読めない「出色のミステリー」 謎が謎を呼ぶ「御上先生」の結末を占う
槙野は御上の敵か
もっとも、御上と槙野の確執はポーズである可能性がある。2人が衝突するのは後輩官僚・津吹隼人(櫻井海音)ら第三者が居合わせているときばかり。第4回、御上と槙野は電話で口論になったが、それを槙野はスピーカーホンでわざわざ塚田に聞かせている。
なぜ、御上と槙野は仲の悪いフリをしなくてはならないのか。まだ仮説だが、水面下で連繋しているからである。御上と槙野は隣徳、文科省の二手に分かれて改革を図ろうとしているようにも思える。
第3回、槙野は花を手に墓参りに訪れた。第7回、墓に眠るのは後輩官僚・高見唯人(林裕太)であることが分かる。入院中の飛び降り自死だった。
同じ第7回で津吹が倒れた。槙野は痛恨の過去を思い出し、顔面蒼白になる。御上の兄は学校教育の不備の犠牲になったが、高見は文科省の理不尽なシステムに命を奪われたのではないか。だから2人で改革を成し遂げようとしているのではないだろうか。
槙野は第4回、コンサルタントの中岡壮馬(林泰文)に接近する。元政策秘書で「闇の仲人」と名乗る男だ。つまり、政界と官界をつなぐブローカーである。
槙野は中岡に対し、汚れ役を申し出て、了承される。塚田は槙野に中岡と接触させなかった。ウラの世界を知られたくなかったのだろう。これで槙野は文科省と政界の黒い関係を知ることの出来る立場になった。
一方、第1回で御上は神崎に対し、隣徳を覆う闇の存在をほのめかす。隣徳、文科省、御上の冤罪、国家公務員採用試験の会場で起きた殺人はつながっているかも知れないと伝えた。
高3の神崎に重大なことを明かしたのは、公務員試験会場での殺人と神崎が間接的に関わっているから。神崎は1年前、教師の冴島悠子(常盤貴子)と筒井康介(高久慶太郎)がホテルに入る姿を撮影し、「不倫発覚」と校内新聞で報じた。
第2回、神崎の記事によって冴島は辞職し、もとから不仲だった県教育委員会職員の夫とは離婚したことが分かる。冴島はコンビニで働いていた。さらに公務員試験会場での殺人容疑者は冴島の娘・真山弓弦(堀田真由)だった。神崎は責任を痛感する。
御上は最初から冴島と筒井の不倫を怪しんでいる。神崎はどうして写真を撮れたのか? 冴島の存在が邪魔になった隣徳関係者からのリークがあったためではないか。
同じ第2回、隣徳にマスコミが押しかける。真山の母が冴島と分かったからだ。隣徳理事長の古代真秀(北村一輝)は「どうしてマスコミに知られちゃっ たんですかね」と渋い顔だったが、御上がリークしたからである。
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