元祖「ブログの女王」が愛犬との別れを“インスタ”で報告…「ブログが大いに盛り上がっていた時代」をネットニュース編集者が振り返る

国内 社会

  • ブックマーク

ブログの女王も…

 3月11日、タレントの眞鍋かをり(44)がインスタグラムにて、「妹」でもある愛犬「うめ」が16年8ヶ月の生涯を終えたことを発表し、様々なネットメディアがこの件を報じた。これを見て筆者は「ブログの凋落」を感じた。確かに長文を書くことよりも、短文と写真1枚で投稿できるSNSの方が今は身近になっているし、投稿のハードルも低い。「ブログの女王」と称された眞鍋もこちら側に来たのかな、と思ったのだ。

 眞鍋はブログサービス「ココログ」で2004年に「眞鍋かをりのココだけの話」を開始。これは芸能人においては最初期ともいえる時期だ。他には野球解説者の古田敦也氏が目立つ存在だった。当時の芸能界においてブログで情報発信をするのは抵抗感があるものだった。何しろ芸能事務所が発言をコントロールしなければならなくなるし、日々更新するのをいちいち検閲するのも面倒だ。

 さらには、無料で芸能人の発言や日常を知らせることへの抵抗感もあった。テレビ局や出版社もネットを敵視していた時期である。だからこそ、この頃の眞鍋はネット業界からは期待の星と扱われ、乱立し始めたネットニュースサイトも眞鍋のブログを基に記事を作っていった。そのため、眞鍋と古田氏のブログは多くのアクセスを稼ぎ、眞鍋のブログは書籍化されるに至った。

アルファブロガー

 このようにブログ界、いや「ネットで情報発信をする著名人」の先駆けになった眞鍋が今回情報発信の場としてインスタグラムを選んだことに隔世の感を覚える。ちなみに眞鍋のブログは、2018年11月20日以降更新されていない。

 2010年代中盤に芸能人の移籍獲得合戦が繰り広げられたブログ界隈だが、私自身は2004年からその運営にかかわっていた。具体的に言うとアメーバブログをいかにPRするか、ということをフリーランスとして担当していたのだが、当時、「これからはブログの時代だ!」という機運が高まり我々は高揚していた。

 ここにまず目をつけたのが企業である。当時、著名人ブロガーは少なかったものの、一般人の中で1日数万のアクセスを稼ぐ「アルファブロガー」と呼ばれる人々が存在し、彼らを記者発表会や試食会・試飲会等に誘い報酬を支払ってブログを書いてもらったのである。そのように勃興するブロガーの存在だったが、ブログマーケティングを行うアジャイルメディアマーケティング社は2004年に「アルファブロガー・アワード」を設立。2011年に最終回を迎えるまで117人を表彰した。

次ページ:失われた存在感

前へ 1 2 次へ

[1/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。