98歳で新作ドラマ放映! ギネスにも載ったプロデューサー・石井ふく子が明かす健康の秘訣とは
焦らず、怒らず、あきらめず
健康を保つために心がけていることはまだあります。むしろ、これを一番大切にしています。気の持ちようです。
私の若い頃からのモットーは焦らず、怒らず、あきらめず。この三つを心がけていることは仕事面でプラスですし、これを忘れると体に良いことがないんです。
焦るとストレスが生じます。怒ってもやはりストレスがたまる。その上、血圧も上がり、疲れてしまいます。だから撮影現場でも感情的になることはありません。「これは違う」と思ったときも静かに指導するだけです。
あきらめることもストレスにつながります。意外かもしれませんが、あきらめると往々にして後から後悔に襲われてしまうからなんです。あきらめてしまうって、後味も悪いじゃないですか。
〈過剰なストレスは心と体にさまざまな不調をもたらす。心に現れる不調としては不安や憂鬱(ゆううつ)、焦燥などが挙げられ、体に現れる不調としては頭痛や肩こり、睡眠障害などが指摘されている。胃潰瘍の原因にもなるといわれている。またストレスは、高血圧や糖尿病の危険性を高めるなど生活習慣病のリスク因子としても知られる。〉
新作「わが家は楽し」までに2260本以上のドラマを作ってきました。
1968年の「肝っ玉かあさん」(TBS)や1970年の「ありがとう」(同)、1990年の「渡る世間は鬼ばかり」(同)など大半がホームドラマ。新作もそうです。
ホームドラマへの拘り
なぜ、ホームドラマに拘ってきたかというと、両親が早くに他界し、祖父母に育てられた上、一人っ子だったものですから、家族に対する憧れがあるんです。
山田さんとは長いんですよ。初めて脚本を書いていただいたのは1966年の「東芝日曜劇場 片想い~姉妹の恋より~」(同)。主演は倍賞千恵子さん(83)。映画版の寅さんが始まったのが1969年ですから、その3年前でした。
以来、今回の新作も含めて22本を書いていただきましたが、お付き合いが始まったころは新進気鋭の監督。それが今や日本を代表する大監督。山田さんの脚本の魅力は、第一に理屈っぽいせりふがないところなんです。心と心が通い合うようなせりふなんですよ。
それでも新作は、少し直しをお願いしました。山田さんはスタッフとキャストの前でこう言っていました。「僕が直しの求めに『うん』と応じることはない。だけど、石井さんの要望だから応じた」。普通だったら決して直さない人なんです。
〈山田氏は石井さんを敬愛している。新作の執筆に当たっては「50年前の東芝日曜劇場の時代、僕は石井さんにテレビドラマ脚本の骨法についてしっかりと教えられたものです」と話している。〉
[3/4ページ]