コンビニのカップ麺が「300円超え」…もはや「庶民の味方」とは呼べなくなった高級化路線への違和感

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カップラーメンが食べられる程度の賃金を

 もちろん、高いカップラーメンがあってもいい。だが、手軽に買うことができておいしいカップラーメンを買うことに躊躇するようになる時代が来たら我々日本人は不幸になる。

 2007年、福岡県北九州市小倉南区の52歳男性が、生活保護受給を止められた後に「おにぎり食べたい」と遺書に書き残して亡くなった。この件については「ここまで日本は生きるのが厳しい国になったのか」と波紋を呼んだ。だが、コンビニおにぎりも種類によっては180円台もあるなど、軒並み物価が上昇し、カップラーメンも高くなっている状況では「カップラーメン食べたい」と言い残して亡くなる人が出てもおかしくない。

 もちろん、企業の値上げを批判するものではない。せめて、お金をあまり持たない人も躊躇なくカップラーメンを食べられる程度の賃金にしてあげてくれないか? そのために政治が少子高齢化の日本経済に対して本気で改革をしてほしい、と思っているだけである。

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
1973(昭和48)年東京都生まれ、佐賀県唐津市在住のネットニュース編集者。博報堂で企業のPR業務に携わり、2001年に退社。雑誌のライター、「TVブロス」編集者等を経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』『よくも言ってくれたよな』。最新刊は『過剰反応な人たち』(新潮新書)。

デイリー新潮編集部

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