コンビニのカップ麺が「300円超え」…もはや「庶民の味方」とは呼べなくなった高級化路線への違和感
現実味を帯びてきた「麻生発言」
麻生太郎氏が首相だった2008年当時、同氏が高級ホテルで会食したり、バー通いに興じたりしていることに対して「庶民感覚が分からない非常識人」と痛烈に批判された。そんな中、国会でカップラーメンの価格を野党議員から聞かれ「今、400円ぐらいします?」と述べ、さらに庶民感覚のなさを批判された。揚げ足取りにも近い質問ではあったが、あれから17年。麻生氏が言うところの「カップラーメン400円」が現実味を帯びてきた。
【写真】カップラーメンの高級化を予言? 「麻生太郎」が大豪邸の前をウォーキングする姿
先日私がローソンで購入した「吉村家」のカップ麺は298円。その上の段の別の家系ラーメンは328円だった。東京ではお店で食べるラーメンが1000円を超えることも珍しくなくなっており、300円のカップ麺も“普通”になりつつある状況なのかもしれない。が、筆者には、やはりカップ麺300円台は高いと感じられてしまう。
2010年代以前はスーパーの特売でカップ麺が79円や89円、98円で売られていることは珍しくなかった。通常価格でも128円や148円だった。大盛り系の焼きそばには178円という価格設定もあったが、基本的には100円台前半でカップラーメンは買えた。セブンイレブンのPB商品の「一風堂」「純連」「山頭火」は248円だったが、これはあくまでもゴージャス価格で、少し贅沢をしたい時に買うものだった。しかし、これらもいつしか278円に上がった。
かなりの違和感
かつての漫画やドラマでは、カップラーメンは「貧乏な若者の味方」的な描かれ方をされ、「青春の苦い味」的な扱いもされていた。それが今や贅沢品に仲間入りしつつある。メーカーの、クオリティに対する努力は分かるが、さすがにカップラーメン300円台というのはなかなか庶民にはキツいものがある。デフレ時代、牛丼チェーンでは「並」が250円だったりしたが、それを完全に上回る商品になっているのだ。
こうしたカップラーメンの“高級化路線”の伏線として挙げられるのが、福岡の名店・一蘭のカップラーメンだ。2021年に発売され、希望小売価格がなんと税込537円。しかも具が入っていない。それでもこのラーメンは売れているわけだし、300円台のカップラーメンも文句を言ってはいけないのだろう。
正直、少子高齢化の日本でこれから賃金が劇的に上がるとは思えない。しかし、物価は容赦なく上がる。4月までに6000品目が値上げするという状況もあり、一体我々はどのようにして生きていけばいいのか。
私自身は生活に困窮しているわけではないが、金銭感覚については、1980年代~2010年代の感覚で生きているため、2023年来の値上げラッシュについてはかなり違和感を覚えている。円安時代にインバウンド客のリッチな財布事情がクローズアップされる一方、正直日本人で収入が低い人の感覚だともう無理だろう。米が5kgで4360円といった報道もあるわけだし、貧乏食の代名詞に近かったカップラーメンまで300円台がこれから当然になるだろう。
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