映画版も「10億円突破」の大ヒット! 「孤独のグルメ」がアジアを席巻する日 主演・松重豊は「韓国では大谷翔平よりも有名」とも
成功のウラに
今では広く知られているが、「孤独のグルメ」の企画は当初、フジテレビに持ち込まれたという。しかし、「中年男が独りで食事をしているドラマの何が面白いのか?」と、作品が持つ世界観が受け入れられず、「フジの番組はもっとキラキラしていないと」との理由で幹部から即却下されてしまったというのだ。
ドラマでは主人公・五郎が商談を終えて空腹を感じ、訪れた土地の食事処に入店。店員や他の客とは必要以上の会話をせず、延々と“心の声”をつぶやくという原作の世界観をしっかり守っている。
「1話の撮影は2日間で、1日はドラマパート、もう1日はグルメパートの撮影。松重さんは、グルメパート日の前夜から食事を抜いて撮影に臨むこだわりようで、そのおかげで、『その日、初めての食事をとった五郎の表情』を演出することに成功しました。さらに、原作の久住さんのドラマ化の条件が『原作漫画に登場した店は使わない』。スタッフたちは、あちこちかけずり回って店を探し、撮影交渉を重ねているのです。予算がないウチには、まさにドハマリの企画でした」(前出・テレ東関係者)
シリーズを重ねるごとにDVDや動画配信などの二次収入で多額の利益を上げており、17年から昨年までは毎年、大みそかスペシャルを放送している。すっかりテレ東の看板を背負うコンテンツに成長した。
驚くべきはテレ東制作陣の目利きだが、今回の映画化には、“夜食テロ”ドラマ劇場版で成功した前例もあった。そのドラマは、よしながふみさんの漫画を実写化した「きのう何食べた?」。西島秀俊(53)演じる、雇われ弁護士の筧史朗(シロさん)と、その恋人で内野聖陽(56)演じる美容師の矢吹賢二(ケンジ)の2人でとるほほ笑ましい夕食の時間を中心に描かれる。毎回の見せ場は、シロさんが仕事を終え、近所のスーパーで値段や素材を見極め、帰宅して手早く調理するシーンだったが、21年11月公開の「劇場版『きのう何食べた?』」はそれなりの予算がかけられた。
「劇場版はシロさんとケンジが京都旅行に出かけ、温泉やグルメを堪能します。こちらは女性客が7~8割。シロさんのレシピ本が売れるなど、『孤独のグルメ』同様に二次収入でも利益を上げ、劇場版の興行収入は14.1億円のヒット作に。この実績があったから、『孤独のグルメ』の映画化にもOKが出たのです」(同前)
このところ、テレ東では月から木曜の午後5時45分から「孤独のグルメ」を再放送。日によっては、同時間帯のフジのニュース番組「Live News イット!」の視聴率を上回ることもあるだけに、公開中の映画がどこまで数字を伸ばすのかが注目される。
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