専門医が厳選した「10の抗がん食材」とは? お勧めの食べ方、効果まで徹底解説
10の抗がん食材の選定方法
分かりやすく言うと、例えばピロリ菌に感染して胃がんになった方が、実は塩辛いものが大好きでそれががんに影響していたり、咽頭がんになった喫煙者の食生活が非常に乱れていたり、肝臓がんになったお酒好きの方が、がんとの関係が指摘されている超加工食品も大好きだったりと、本当は食事が大いに影響しているケースが含まれているかもしれないのです。
実際、がんになった患者さんに聞いてみると、若い頃に食生活が非常に乱れていた、外食ばかりだったという話もよく耳にします。実のところ、半数近くのがんに食事が関係しているのではないかと私は感じています。
では、がんを防ぎ、がんと闘うのに役立つ食材にはどんなものがあるのか。何を食べれば、がんを遠ざけられるのか――。そこで私は、世界各国の「食べ物とがん」に関する医学論文を日々チェック・精査し、「10の抗がん食材」を厳選しました。
選定にあたっての大きな基準にしたのは、ヒトにおけるエビデンスがしっかりとしていることです。例えば、ある食材から抽出した一つの成分を、シャーレの中のがん細胞と混ぜてみたらがん細胞が小さくなったという研究結果があったとします。しかし、人間の体の機能・構造は極めて複雑ですから、その食材を人間が実際に食べて、本当に効果があるかはまた別問題です。従って、ヒトが摂取して効果が見られたというエビデンスがある食材などに注目しました。
また、言わずもがなですが、抗がん食材は「1回食べれば効果てきめん」というわけではありませんので、日常的、かつ継続的に、そして気軽に食べられるものでなければ意味がありません。いくら抗がん効果を持っている食材だとしても、高価だったり、一般のスーパーには置いていない“珍品”だったりしたら、それを日々の食卓に取り入れるのは難しい。そのため、どこのスーパーにも置いてあり、手に取りやすいものである点も重視しました。
こうした観点から選んだのが、次に紹介する「10の抗がん食材」です。
アブラナ科の野菜で死亡リスクが低減
(1) キャベツ
植物が、自身にとって有害なものから身を守るために有している「ファイトケミカル」という成分が、キャベツなどのアブラナ科の野菜には豊富に含まれています。そして、ファイトケミカルの一種であるスルフォラファンには強い抗酸化作用があり、がん細胞の増殖などを抑える働きがあります。
アブラナ科の野菜を最も多く食べた男性のグループと、最も少ないグループを比較した場合、前者の方ががんの死亡リスクが16%低かったとの研究結果があります。
(2) ブロッコリー
キャベツと同じアブラナ科の野菜で、スルフォラファンがとても豊富な食材です。特に、新芽の「ブロッコリースーパースプラウト」はスルフォラファン含有量が多く、最強の抗がん食材の一つといえます。
(3) タマネギ
アリウム属の野菜で、この属の野菜には、ポリフェノールの一種で強力な抗酸化作用を持つ、ケルセチンという成分が豊富です。抗がん以外にも、血糖値や血圧の低下などの効果が期待できます。
(4) ニンニク
タマネギと同じアリウム属で、抗酸化作用と抗炎症作用を持つ二硫化アリルという成分が多く含まれています。ニンニクを多く摂取する人は大腸がんのリスクが25%低減するという分析結果が存在します。
(5) 大豆
大豆イソフラボンの一種であるゲニステインという成分は、がん細胞の成長と関係のある血管新生という働きを阻害してくれます。大豆の摂取によって、胃がん、大腸がん、卵巣がんの死亡リスクが50%前後低減するという分析結果が出ています。
また、腸内環境の悪化は全身のがんに関係するのですが、大豆の発酵食品である納豆やみそには、腸内環境を整える働きがあります。
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