「フジテレビ」CM激減に笑いが止まらない“ライバル局”とは? 年度末を前に「捌ききれないほどのCMが殺到する」業界の事情
元タレントの中居正広氏による女性トラブルとその対応を巡る問題で、フジテレビで流されるCMは番組宣伝とACジャパンばかりとなっている。2月27日、フジの清水賢治社長は2月の広告収入が前年比で90%強減少していると明かした。では、それらのCMはどこへ行ってしまったのか。
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【写真を見る】「日テレ」だけじゃない! フジで放送するはずのCMが流れている「意外なテレビ局」とは?
とある民放関係者が声を潜めて言う。
「なんでもフジの騒動で日テレがウハウハなんだそうです。捌ききれないほどのスポットCMが殺到しているんだとか」
なぜそんなことになるのだろう。
「年度末の道路工事じゃありませんが、民間企業も年度末の3月までに予算を使い切らないと来年度に同規模の予算が確保できません。それは広報部門の広告費も同様です。当然それは広告代理店にとっても死活問題で、フジに使うはずだった予算をキー局に振り分ける作業に躍起になっているのです」
とはいえ、民放はフジと日テレだけではない。なぜ日テレに集中するのだろう。
「自動車や家電、トイレタリー(洗浄などの日用品)、ビールといったメーカーが求めるのは、購買力のあるコア層(13~49歳)の視聴率です。実はフジは世帯視聴率こそ4位ですが、『千鳥の鬼レンチャン』や『新しいカギ』『酒のツマミになる話』などの人気番組があるため、コア視聴率で見ると2位なんです。広告費の行きどころをなくしたコア層を重視するスポンサーは、世帯視聴率は高くてもシニア層の視聴者が多いテレビ朝日でもTBSでもなく、コア層トップの日テレを選んだというわけです」
テレ朝は昨年の年間視聴率で、世帯視聴率のみならず個人視聴率でも、開局以来初となる全日帯(6~24時)、ゴールデン帯(19~22時)、プライム帯(19~23時)でトップの三冠を達成している。
CMのために本編切り
「それでもコア層の個人視聴率で見るとテレ朝はフジよりも低い。そのためフジで放送するはずだったCMが日テレの次に流れているのはテレビ東京だと聞きます」
まさに漁夫の利といったところだが、それはそれで苦労もあるという。
「日テレのスタッフに聞いたところ、営業から各番組にCMの“増枠要請”がひっきりなしに来ているそうです。ただし、番組提供社のタイムCMは今さら増やすことができない。番組とは無関係に放送されるスポットCMなら可能だろうと、番組の最後の提供クレジットの直後に流されるヒッチハイク(HH)や番組と番組の合間に放送されるステーションブレイク(SB)で、ゴールデン帯なら1分とか、『ZIP!』など朝の番組であれば2分といった要請が来ているそうです。そうは言っても、これまできっちり組まれていたCM枠にさらにCM枠を増やせと言われたら、番組を短くする“本編切り”をやるしかない。番組スタッフにしてみたら、まさに身を切られる思いだとか」
当然のことながら、民放はCMあってこそだ。
「テレビ局員にとってCMは給料の原資ですからね、さすがに文句は言えないそうです」
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