自主製作映画「侍タイムスリッパー」日本アカデミー賞の最優秀賞受賞なるか 主演「山口馬木也」は大河に出演決定

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真面目な会津武士

「当初は絵本作家を目指していたそうです。食べるためにアルバイトに明け暮れていた時に、たまたま知り合った芸能関係者に『俳優に興味がある』と嘘をついて活動を始めたといいます。渡部篤郎と村上里佳子がいた事務所に所属し、ガタイがいいのでVシネマや2時間ドラマ、舞台等で活動していました。2003年からは時代劇『剣客商売』(フジテレビ)で主役の藤田まことさんの息子役を得て、藤田さんから時代劇や役者としての心得を学んだそうです。ところが、藤田さんも亡くなり、Vシネマも2時間ドラマも減った。近年はもっぱら舞台が中心でしたが、コロナ禍の最中は公演が難しくなった。所属事務所も自己破産して移籍することになり、ちょうどその頃に『侍タイムスリッパー』の声がかかったそうです」

 苦節25年で得た初主演映画「侍タイムスリッパー」はSFとはいえ時代劇だ。

「安田監督は殺陣の上手い役者を探していたそうです。山口は『剣客商売』以外にもNHKの時代劇などによく出演していたので声がかかったのでしょう」

 ちなみに、これまで山口は、大河ドラマだけでも「北条時宗」(01年)、「八重の桜」(13年)、「麒麟がくる」(20年)、「鎌倉殿の13人」(22年)の4作に出演。

「それでも人気に繋がりませんでしたが、役者としては成長した。『侍タイムスリッパー』では、冒頭、長州藩士を暗殺する密命を帯びた会津藩士役で登場するのですが、彼の演技がしっかりしていたからこそ自主映画とはいえ安っぽさを感じない作品になりました。笑いあり涙ありで、最後はしっかりオチも作った。剣一筋の真面目な会津武士をしっかり演じたからこそ、笑いにも繋がっていました」

 ようやく売れっ子となった山口だが、すでに52歳である。

「2022年に放送された『エルピス―希望、あるいは災い―』(フジ/カンテレ制作)で暴言プロデューサーを演じて一気に全国に名を広めた岡部たかし(52)に重なりますね。彼も主に舞台で活動しながらNHKの大河や朝ドラに出演していましたが、なかなか売れませんでした。ところが、『エルピス』で火がつくと一気に引き上げられ、今では映画やドラマに欠かせない役者になっています。山口も『豊臣兄弟!』で“鬼・柴田”をどう演じるか期待されています」

 日本アカデミー賞が「侍タイムスリッパー」に最優秀賞を授与できるかどうかも気になるところだ。

デイリー新潮編集部

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