備蓄米を放出しても「夏にはコメ不足」に陥るリスク…「令和の米騒動」再来で“参院選”はどうなる?
議論から逃げた自民党
「現在の有権者は物価高騰と生活苦に強い不満を持っており、その大半は国会の論戦に失望したと考えられます。例えば食料品の物価高騰を抑えるには、軽減税率による消費税減税が有効でしょう。食品は3%とか5%に引き下げるという議論を自公がリードしてもよかったと思いますが、『財源がない』と堂々と言うならまだしも、議論自体から逃げた印象を与えてしまいました。同じことはガソリン税の暫定税率廃止にも言えます。特に車が不可欠な地方在住者には相当な負担減となったはずですが、この議論からも自民党は逃げたと言えます」(同・伊藤氏)
自民党と公明党、そして維新は「高校授業料の実質無償化」で合意に達し、衆議院で2025年度の当初予算案を可決した。だが、この3党合意は「有権者に好印象は与えなかったでしょう」と伊藤氏は分析する。
「有権者が求めた物価対策に対する真っ正面の議論ではなく、与野党間で駆け引きだけを繰り広げた印象を与えてしまいました。しかも食料品の消費税減税やガソリン税の暫定税率廃止に比べ、高校授業料の実質無償化は効果が限定的です。一方、コメと言えば日本人の主食であり、物価高騰の象徴と言えます。さらに『物価対策を放置した与党』のイメージは『コメ高騰に何の手も打たなかった政府』のイメージと重なり合います。コメ高騰をテコに与党を厳しく批判する選挙戦術で有権者の支持を得ることに野党が成功すれば、昨年の都知事選のように『玄人が予想できなかった選挙結果』となる可能性も否定できません」(同・伊藤氏)
第1回【ついに備蓄米の“入札”スタート…それでも「コメの価格が下がらない」と囁かれる理由 ネット上では「高値入札なら価格も高止まりでは?」とのツッコミも】では、なぜ備蓄米の入札を実施してもコメの価格は下がらないのか、そもそも入札を行う時点で無償の“放出”とは異なるという指摘がネット上に投稿されていることなど、農水省の無為無策について詳細に報じている──。
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