ついに備蓄米の“入札”スタート…それでも「コメの価格が下がらない」と囁かれる理由 ネット上では「高値入札なら価格も高止まりでは?」とのツッコミも

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「放出」と「入札」の矛盾

 確かに一部の建設業者やIT企業、日本に住む中国人やインド人が投機目的でコメを買ったのは事実だろう。

 だが、それだけで5キロ2500円だったコメが5キロ4500円まで上昇するはずもない。むしろ「農水省の調査自体が間違っており、実は不作だったのではないか」という現場の声のほうが興味深い。

「Xでもコメ高騰を巡る議論は活発で、その中には『備蓄米の“放出”なら無償とするべきなのに、なぜ入札を行うのだ』という興味深い指摘があります。そもそも備蓄米は政府が税金を使って買い上げたものです。それを放出するのに入札を実施し、『最も高値で応札した業者に売る』のです。これではコメの価格が下がるはずはありませんし、ネット上では『税金でコメを備蓄し、業者に転売して利益を得るのだから、農水省の二重取りだ』という鋭い批判も散見されます」(同・記者)

 この備蓄米、なかなか無償で放出されないという歴史があるのをご存知だろうか。例えば東日本大震災の時だ。被災地からはコメ不足の悲鳴が上がったが、政府は「不作の時しか放出しない」と拒否した。

コメ価格と参院選

 一方、海外支援となると急にハードルが下がることも指摘されてきた。2000年10月には食糧不足に苦しむ北朝鮮に対しコメ支援を実施。特に50万トンの追加支援に関しては全量を政府在庫の国産米と決めたことが物議を醸した。

「政府は2月、東アフリカのブルンジ共和国に対して総額10億円の無償資金協力を決定しました。その中に政府備蓄米を3・5億円分、供与することが含まれています。ネット上では『日本人にはコメを無償で渡さないのに、外国人には簡単に渡す』という批判が散見されますが、事実無根のデマと片付けることはできません。一方、15万トンの放出は量が足りないだけでなく、入札を行って高値で売却するのですからコメの価格が下がるはずもありません。そもそも“放出”という語句を使うことが間違っているのであり、備蓄米の“販売”とか“払い下げ”と呼ぶべきでしょう」(同・記者)

 もし備蓄米を無償で放出するのなら価格は確実に下がる。ただし備蓄米の入札を実施することで、コメの価格は一時的に下がると予測する専門家もいる。ただし、コメの絶対量が不足している以上、夏には昨年と同じようなコメ不足が起きるとの指摘は多い。

 夏に再びコメの価格が急騰するのは確実のようだ。そして参議院選挙は7月の実施が予定されている。第2回【備蓄米を放出しても「夏にはコメ不足」に陥るリスク…「令和の米騒動」再来で“参院選”はどうなる?】では、コメ高騰が自民党にとって逆風となるかどうかについてお伝えする──。

デイリー新潮編集部

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