空中分解懸念の阪神藤川、G阿部には“ゴジラの影”…セ・リーグ監督6人のアキレス腱とは
後ろ盾を失った燕高津監督、中日井上監督は観客動員を維持できるか
ヤクルト・高津臣吾監督は2021、22年にリーグ連覇を達成した後、2年連続5位と低迷中。強固な後ろ盾だった衣笠剛球団会長兼オーナー代行が今年2月に死去したことで、今年は崖っぷちといわれている。
「衣笠さんは、大物OBの宮本慎也氏が評論活動で歯に衣着せず、古巣のヤクルトを厳しく批判することに不快感を露わにしていた。衣笠さんの目の黒いうちはありえないといわれていた宮本氏の監督就任が、現実味を帯びてきたともっぱらです」(ヤクルトOB)
中日は3年連続最下位だった立浪和義前監督のあとを受けて、2軍監督を務めていた井上一樹氏が1軍監督に昇格した。明るい性格でチームのムードを盛り上げている。
「前任者の立浪監督は、チーム成績こそ最悪でしたが、現役時代にスター選手だったとあって人気はあった。観客動員は右肩上がりで、昨年は阪神、巨人に次ぐリーグ3位の1試合平均3万2,951人を動員しました。井上監督は現役時代、実績では立浪さんに遠く及ばず地味な存在でしたから、観客が激減するようなら、フロントからの風当りは強くなるでしょう。戦力的にも、もともと苦しかったところから守護神のマルティネスを巨人に奪われ、開幕前から『セ・リーグ6球団のうち、中日の優勝だけはありえない』と揶揄されるありさまです」(中日担当記者)
2年連続で下馬評覆した広島新井監督「若手の成長と新外国人頼み」
就任3年目の広島・新井貴浩監督は、その手腕を非常に高く評価されている。毎年開幕前には評論家諸氏から最下位と予想されながら、就任初年度の一昨年は2位。昨年は8月31日時点で首位を走っていたが、その後快進撃の原動力だった投手陣に疲れが見えて大失速し、結局4位に終わった。
「選手をやる気にさせる人柄は抜群。就任当初からの懐刀である藤井彰人ヘッドコーチとのコンビネーションも絶妙です。しかし打線は昨年、チーム打率.238、チーム本塁打52本がいずれもリーグワースト。中軸として当てにしていた外国人2人が、全く戦力になりませんでした。今年も戦力不足は否めません。若手の成長と、新外国人コンビ(エレフリス・モンテロ内野手とサンドロ・ファビアン外野手)の活躍頼みでしょう」(広島担当記者)
三浦DeNAが真価問われるレギュラーシーズン
最後は、昨年レギュラーシーズン3位ながら、クライマックスシリーズ、日本シリーズを勝ち抜き、1998年以来26年ぶりの日本一に導いたDeNA・三浦大輔監督。就任5年目を迎え、2012年のDeNAの球団買収以降では、アレックス・ラミレス前監督と並ぶ最長政権となった。チームはトラッキングデータ、AIなどを駆使し、他球団とは一線を画した取り組みを行っているが、三浦監督は時代と球団の特質に即したマネジメントをこなしているといえそうだ。
「日本シリーズを制覇したとはいえ、1998年以来のリーグ優勝は宿題として残ったままです。三浦監督は改めて、1年間を通したレギュラーシーズンで真価を問われます。南場智子オーナーも三浦監督の続投を発表した際、『リーグ優勝という結果に結実させることを絶対の目標として、指揮を執っていただくこととしました』と釘を刺しました。今年はトレバー・バウアー投手が2年ぶりに復帰し、昨年にも増して戦力が充実している。逆に言えば、今年リーグ優勝できなかったら、しばらくチャンスがないかもしれませんよ」(DeNA担当記者)
指揮官それぞれがメンツと進退をかけて、火花を散らすシーズンが始まる。
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