創業家の「長女」「次男」にセブンイレブンMBO失敗の本質が… 「育ちの良さからか、剛腕さに欠ける」

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セブンの対抗策

 セブン側も北米でのコンビニ事業を手がける子会社を米国市場に上場させるプランを温存。「虎の子の北米子会社の全株、または何割かを取得する」(前出のファンド関係者)ことで、クシュタールが矛を収める落としどころも模索され始めているという。

 流通業界に詳しい桃山学院大学経営学部の小嶌正稔教授はこう語る。

「クシュタールにとって興味の対象が、アメリカのセブン-イレブンだというのは事実でしょう。セブンの持つ北米でのネットワークを取り込めば、“数のメリット”で物流をはじめ大幅なコストダウンを実現でき、手っ取り早く成長が見込める。彼らは最初からそういった明確なビジョンを持って行動を起こしています」

 対するセブンも買収阻止に向け、3月中にも主力のコンビニ事業の強化策を打ち出す方針だ。

「考えられるのは、まだ緒についたばかりですが、セブン-イレブン・ジャパンが昨年、イトーヨーカ堂との共同プロジェクトとして出店したSIPストアをベースとしたもの。コンビニとスーパーを融合させた新形態の店舗を指しますが、さらにセブンが強みを持つ“中食”とリンクさせた新たな商品開発なども視野に入っているかもしれません」(コンビニ評論家の渡辺広明氏)

 自主独立路線か、外資の軍門に下るか。その決断のタイムリミットは5月に来る。MBO失敗で加速する、ガチンコバトルの行方から目が離せない。

週刊新潮 2025年3月13日号掲載

特集「MBO頓挫で追い詰められるセブン-イレブン 創業家『長女』『次男』失敗の本質」より

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