なぜ「秋広優人」に阿部監督は辛らつなのか 「あいつの聞きたくない話ばかり入ってくる」…「中田翔」との自主トレにも疑問の声が
中田への心酔
そんな“耳にしたくない”情報の一つが、秋広が1年目のオフから「師匠」と慕う、中田翔との自主トレだ。
「秋広自身が、その年に日ハムから移籍してきた中田に直談判して決まりました。中田本人も、なんで俺なのかね? 他にもいるんじゃないと話していたそうで……」(同)。
翌年、翌々年と合同自主トレは続き、定例化。中田は2023年オフで巨人を退団、中日へと移籍したが、その後も今年も含めて2年連続で行うほどの心酔ぶりだ。
しかし、この自主トレが首脳陣から評判が悪い。自主トレ中は一日で米を9合、後に12合食べるのがノルマというパワー重視の食事メニューを続けているが、「体重を増やしてパワーヒッターを目指す場合には故障がつきもの」(巨人関係者)との声が上がっている。
昨年の自主トレでは、中田と共に頭を丸刈りにし、また、シーズンが始まっても一軍合流したその日の中日戦で中田へわざわざ“あいさつ“に出向くなど師匠への忠誠心は揺るがない。Instagramを見ても中田の写真が多数。しかしそもそも、中田自体、「パワハラ」体質で知られており、日ハム退団の原因は同僚選手への暴力発覚で出場停止処分を受けたことだった。当時の原辰徳監督の肝煎りトレードで巨人に来たが、球団首脳のほとんどが、「紳士たれ」のはずの巨人軍になぜ中田を入れるのか、と不満を抱いていた。その中田とチームを違えてなお師弟関係を続ける秋広に対し、疑問を感じるスタッフも少なくないのだ。
松井秀喜との違い
他球団は秋広をどう見ているのか。宮崎キャンプにやってきた他球団のスコアラーたちは異口同音に「阿部監督が秋広に“長打力“を求めているけど、それは酷」と口にする。実は巨人スカウト陣が秋広を獲得する際も同じ評価だった。秋広は高校時代、投手と一塁の“二刀流“だったが、「大きな体にもかかわらず、何よりもバットコントロールが秀逸」という評価であり、巨人は内野手として秋広を育成する方針を固めた。そして同年から巨人では現役引退した阿部監督が「二軍監督」として就任している。
本来なら秋広と阿部二軍監督による師弟関係ができていてもおかしくない。思えば1992年ドラフトでは長嶋茂雄監督が松井氏を1位で獲得した。4番・原辰徳内野手に衰えが見え始めていた当時の巨人も生え抜きの4番の育成が急務だった。「長嶋監督は本気でした。松井を1000日かけて巨人の4番にすると何度も断言していました。そしてその言葉通り、高卒入団3年目で、松井は初めて巨人の4番に座りました」(巨人担当記者)。松井氏がメジャー移籍するまでほぼ毎日と言っていいほど、素振りを中心にしたマンツーマン指導を続けたのはあまりにも有名だ。「巨人の4番は日本野球界の4番でなければいけないんです」(長嶋監督)という思いのもと、必死にその練習についていった松井氏は「長嶋監督がいなかったら、今の僕はありません」と断言している。しかし、そうした関係は阿部監督と秋広の間には皆無である。
空きは一つ
今季の阿部構想では秋広は「外野手」だ。定位置の残り枠はあと一つ。丸佳浩、エリエ・ヘルナンデスは当確で、ひとつしか空きがない。それを新外国人のトレイ・キャベッジ、オコエ瑠偉、高卒3年目の浅野翔吾らと争う。外野の守備は決して得意ではない秋広にとってそのハードルは決して低いものではない。岡本は高卒5年目の年、既に開幕4番を任されていた。秋広は正念場のシーズンを迎えている。