「連絡を待っている時間が一番つらかった」 津波で両親を失った作家・柚月裕子が語る東日本大震災
昨年本誌(「週刊新潮」)で連載された柚月裕子さんのクライムサスペンス『逃亡者は北へ向かう』がこのほど上梓された(2月27日刊)。東日本大震災から十余年を経て、東北に住む両親を津波で失った著者が、つらい体験を踏まえてつづった渾身の力作である。柚月さんに話を聞いた。
その日、山形県では震度5強を記録した。2011年3月11日のことである。
「自宅にいて、すごい揺れを感じた。しかも経験したことのないような長い横揺れでした」
と、作家の柚月裕子さんは振り返る。...