「笑おうにも顔がまったく動かせなくなり…」 帯状疱疹の恐怖体験をフリーアナ・早坂まき子が明かす
「大人たちが子供のウイルスに触れる機会が減少している」
正確な理由はいまだに分かっていないが、根本的な要因として考えられるのは“高齢化社会の進展”だとして、外山氏はこうも話す。
「かつては長生きしている方の多くは、必然的に免疫機能も強く帯状疱疹になりづらかった。ところが、近年の医療技術の向上によって、免疫力が弱くても長生きできる人が増えたことが関係しているかもしれません。また14年から幼児に対して『水ぼうそうワクチン』が定期接種化されたことにより、子育て世代にあたる20歳代から40歳代の発症率も増加しています。大人たちが『ブースター効果』を得られず、帯状疱疹にかかりやすくなっていると考えられます」
いったいどういうことか。
「今までは子供が水ぼうそうにかかることで、親の世代も自分の体内に存在する免疫機能を高めることができていた。これがいわゆる『ブースター効果』なのです。最近は大人たちが子供のウイルスに触れる機会が減少しているので、発症の可能性が高まっている。注意が必要です」
「ワクチン以外には予防できるというものがない」
しかも厄介なことに、帯状疱疹への効果的な予防策は乏しいのが現状だというのである。
外山氏に聞くと、
「予防策として、ぐっすり休むことや、栄養バランスを考えた食事だとか、ストレスを減らすことが推奨されますが、これらを徹底しても帯状疱疹にならないという保証はどこにもありません。例えば患者さんに直近で大きなストレスを感じたか尋ねても、“何もありませんでした”と答える人が結構多いんです。ワクチン接種が最も効果的な予防法ですので、50歳になったら積極的に接種することをお勧めします」
前出の浅田氏も、
「疲れていたり、風邪をひくと帯状疱疹が出ることが多いとは思います。体が弱っていたら無理をしないのが重要ですが、帯状疱疹に特化した予防法はないんですね。今のところワクチン以外には予防できるというものがないのです」
目下、帯状疱疹に予防効果があると国が認可したワクチンは2種類に限られる。
掲載の表にある通り、一つ目の「生ワクチン」は安価で副反応が強くないが、発症予防効果は約50%と低い。もう一つの「組み換えワクチン」は2回接種する手間がかかる上に高価で副反応は強いが、発症予防効果が高い。それぞれ長所と短所に相当の違いがある。
ワクチンの選び方
先の浅田氏が言うには、
「『生ワクチン』は弱毒ウイルスですので、子供さん向けの水ぼうそうワクチンと同じ。30年以上の歴史があって大きな副反応も起こっておらず、全身症状を訴える方も数%という安全性を示すデータが蓄積しています。ただ効果の持続期間が5年から10年で切れるといわれているので、安価な分、くり返し接種する必要があります」
「組み換えワクチン」は、発売から歴史は浅く、発熱、頭痛などの全身の副反応がしばしば見られるが、予防効果が高く効果の持続も期待できる。
副反応のリスクを考えれば「生ワクチン」。高齢者で費用対効果を考えれば「組み換えワクチン」という選択肢もあるだろう。
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