家賃は福島県民の税金で…都内タワマンにタダで住み続ける「自主避難民」の言い分 「家賃を払うなんてとても出来ない」

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家賃は福島県民の税金で

 県生活拠点課の担当者が嘆息する。

「上告した2世帯については、既に強制執行なども行い退去済みです。しかし東雲住宅には、県を訴えた住民を含む8世帯が、今なお居住を続けています。中には度々支払いがある方もいますが、多くは家賃を支払わないままです」

 8世帯のうち1世帯については、既に県の勝訴で結審している。

「他の方とは、まだ退去や損害賠償を巡り、一審の最中です。裁判が長引くほど居住期間も延び、賠償金額が増えてしまう。極論、その間の家賃は福島県民の税金で支払われている。早く決着するに越したことはないのですが……」(同)

「戻りたくない人だっています」

 一方で、居座り続ける居住者の側にも言い分があるようだ。

 弁護団長を務める井戸謙一弁護士が代わって言う。

「自主避難者であるため“福島に帰ればいい”とよく言われます。しかしいくら避難指示区域外とはいえ、震災前に比べて相当の被曝量があるのは間違いない。それをどの程度不安に感じるかは人さまざまで、戻りたくない人だっています」

 とあれば、首都圏の同様の家賃の物件はどうか。実際、福島県はこれまでそういった転居先を探す支援なども行ってきている。

「県の職員がネットで調べたものを紹介する程度です。高齢の住民も多く、非正規やバイトで食いつないでいるのが現状。引っ越しと転職をして家賃を払うなんて、とてもできません」(同)

 あくまで避難者に落ち度はないとした上で、直近の窮状をこう訴える。

「ある男性は昨年、県側に福島地裁で訴訟を起こされましたが、うつ病で遠出なんてできない。東京地裁への移送も断られたことで、私たちと連絡が取れないほど病状がひどくなった。独身の方ですし、何かあれば取り返しがつきません」(同)

 こういった状況も相まって、井戸氏いわく判決はまだまだ先だという。

週刊新潮 2025年3月13日号掲載

ワイド特集「掟破り」より

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