家賃は福島県民の税金で…都内タワマンにタダで住み続ける「自主避難民」の言い分 「家賃を払うなんてとても出来ない」

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 これも災害が残した爪痕といえるだろうか。日本が震撼(しんかん)した東日本大震災と原発事故から14年、今なお都内の高層マンションで暮らす避難者がいる。故郷の福島県に訴訟を起こされながらも“摩天楼”にとどまり続ける理由とは。

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家賃は2万円程度

 東京都江東区の湾岸地域は、高級マンションが林立する都内屈指の人気エリアとして知られる。

 その一画に建つ国家公務員宿舎「東雲(しののめ)住宅」には、東日本大震災の後、福島県から1300人の避難者が身を寄せた。

「同住宅は36階建て、総戸数900戸のタワマン宿舎です。福島県がこれを借り上げ、原発事故による避難指示区域外から逃げてきた“自主避難者”などに、無償で住居として提供しました」(関係者)

 提供の期限は2017年3月まで。ただし経過措置として、家賃を支払えば19年3月までの居住が認められた。

 その家賃は「ワンルームで約1万7000円、1DKで約2万5000円」(福島県生活拠点課)と、周辺に比べ6分の1~8分の1程度の低価格。最寄り駅から徒歩10分、大型ショッピングモールも隣接するなど、生活にはこれ以上ない好立地でもある。

避難者と福島県で訴訟沙汰に

 そんな“仮住まい”を巡り避難者と福島県で争いが勃発したのは、退去期限から1年が過ぎた20年3月のことだった。

「自主避難者の中に、家賃を支払わずに住み続けている人々がいたのです。県は調停にも応じなかった4世帯に対し、退去と損害賠償を求めて福島地裁で訴訟を起こしました。その後、こういった県側の動きを不服とした別の住民11人が、福島県に対し損害賠償や居住権の確認を求めて、東京地裁に提訴。県側も反訴するなど対抗し、泥沼化したのです」(先の関係者)

 先の4世帯のうち和解しなかった2世帯は地裁で敗訴したものの、後に上告まで持ち込んだため、現在も最高裁で審理が続く。

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